第8編 快楽の入り口
最初は気づかなかった
わたしはとにかく飢えていて
あなたがくれた飴玉は
何よりも魅力的な食料だった
でも飴玉は毒だった
あなたはそれをわたしの口に押し込んで
腕の中に閉じ込めて
愛してくれた
飴玉はいつか溶けてしまう
溶けてしまうとあなたも消えてしまう
わたしはあの快楽が忘れられなくて
飴玉を探して闇にはしる
またあなたが飴玉を持っている
ああ、ここにあった
あなたはまたそれをわたしの口に押し込んで
腕の中に閉じ込めて
愛してくれる
あの甘みと温かさがこびりついて
あなたの飴玉が欲しくて
飴玉を探して闇にはしる
飴玉は毒だった
毒に犯されたわたしはもう
飴玉がないと息ができない
飴玉を舐めてはいけないのに
あなたはまた
わたしが飢えた頃に
飴玉を持って現れる
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