第19編 恋の味

恋とはどんな味がするのだろう


幼い頃の恋はささやかな甘い味がした

世の中の汚いものなんて何も知らなくて

ただ彼が好きだった


少し前の恋はなんの味もしなかった

ただ恋人という存在に憧れて

好きなることにさして理由はなかった


今の恋はどうだろう

胸焼けするほど甘い、でも微かな苦味もある

ああ、この苦味がわたしを蝕んで

彼から離れられなくするんだ


友達の恋はどうだろう

味はわからないけれど

ただひたすらに苦そうで

わたしまで苦しくなってしまう


これからどんな味の恋をするんだろう

どんな恋をしても

もう二度と

あのささやかな甘味は味わえない

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