第6編 猫
気ままな猫が羨ましくて
どうしても猫になりたくて
猫のことなんて何も知らないまま
猫になろうとした
小さい体でも心は大きくて
軽やかな足取りで塀を歩いて
路傍の石を弄んで
何も考えなくてよかった
でも人に拾われて
首輪が付いて
鈴もついた
わたしはもうねずみを捕まえられない
どこへでも好きなようには行けない
猫になっても息苦しいのは変わらなくて
猫をやめた
人に戻っても猫のように息苦しくて
体が重たくて
心の奥も冷たくて
ああ、やっぱり猫でいればよかった
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