3-10 分かれ道
岩壁に囲まれた要塞、
途中までは崖の細い道を進み、ぐるぐると螺旋のように下っていく足場の悪い道を一列に並んで歩く。時折、岩の隙間から覗く小さな花に癒されながら、前を歩く伯父である
「伯父上、
「この崖を下って、森を抜けてだから····早ければ二日くらいかな?」
「二日ならすぐですね!」
そんな
「ねえ、大丈夫? どんどん離れていってる気がするけど、」
さらに後ろを歩く
「すみません、私、高い所が本当に苦手で····あ、でも
「あ、だから欄干の上で遊んでた時に真っ青な顔してたんだぁ。おもしろ~」
「ひ、ひどいです····」
涙目で
「いい加減にしろ。抱き上げたらますます高い位置になる」
「あ、バレたか」
「どっちにしてもひどいです!」
「
「じゃあ、荷物半分持ってあげる。ひとりじゃ大変でしょ?」
はいともいいえともいう暇もなく、ひょい、と
「え····ええっと、私はどうしたら?」
「
ぽかんとしている
最後尾は
「
途中で二手に分かれることを聞いていたが、今までずっと一緒に行動してきたこともあり、なんだか不安になる。
「大丈夫だよ。ちょっと遅れるだけ。どちらにしても青龍との契約もあるから、
この先、
「仙術大会ってことは、
「私、あの方苦手なんですよね」
「え? そうなの? 面白いのに~」
「
あの奉納祭の時の様子を見た限り、かなり険悪な関係だったはず。元々従者たちの間でも不人気な第二公子。彼の護衛兼従者である
「
かなり言葉は辛辣だけど、と呑気な口調で
話している内に気が紛れたのか、気付けば崖を下り久々の平地に辿り着く。崖の道を歩いていた時にはその先の景色を見ている余裕がなかったが、森の先に高い塔のようなものが見える。天にも届きそうな楼閣。富の象徴とも呼ばれる青龍が祀られているとされるその楼閣は、
「あれが、
その天辺に四神の玉が封じられているらしい。
「じゃあ、俺たちはここで。数日後には合流できると思う」
「大会には間に合いそうか?」
「たぶん、大丈夫だと思う。あんまり張り切りすぎて怪我したら駄目だよ?」
「お前の方こそ、変なことに首を突っ込んで、事をややこしくするなよ?」
「
それでも自分たちの許へ帰って来ると信じているからこそ、それ以上の言葉は不要だった。
「気を付けて。
「
「うん、じゃあ行くね」
言って、
灰色雲が集まってきた空模様に雨が降らないことを祈りつつ、一行はそれぞれの目的地へと歩み出すのだった。
次の更新予定
2024年11月24日 07:00
彩雲華胥〜轉合編〜 柚月なぎ @yuzuki02
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