カクヨムの新しい可能性を感じた

モニュメンタリー風の構成にリアリティのある内容と謎。
昔から自分は洒落怖に始まり様々な怪談系やホラー小説を読み漁ってきたけれども、全然怖いと思ったことはなかった。
けど、これはシンプルに怖い。
文字で怖いって思わせるのはかなり難しく、演出をミスると陳腐になりがち。
しかし本作は作品全体に漂う謎や不気味さが上手く噛み合い、ホラーとしての要素をかなり強くしている。

また、個人的に一番評価したいのは一つのコンテンツを徹底的に作り込んでいる作者の技量と手間や発想。

本作ではインタビューの文字起こしや雑誌の紙面、独白、ネット掲示板など様々な媒体での表現が巧みにされており、シンプルにかき分けが上手い。
更にはTwitterや近況ノートとも連動し作品外で画像を補完するなど、この作品一つの世界観を作るため徹底した不気味さの演出がされている。

作者がどういう意図で本作を作ったのかは不明だが、重複登録が禁止されているカクヨムでここまで徹底して作品の表現に注力するのは結構リスキー。
だけどそれをしっかり行っていることで、結果としてこの作品の完成度は非常に高いものになっていると感じた。