「可もなく不可もない男」が「テキエロ!」と伝えたい男に変わる瞬間

 あるクリスマスの夜、あかりは休日出勤する事になりました。あかりに付き合わされる形になった柾木さんはあかりにとって「可もなく不可もない男」。それが、仕事帰りに立ち寄ったスペインバルで一気に特別な存在に変わっていくのです。
 仕事の関係だった二人が特別な関係になるまでの描写が、何と言っても素敵。スペインバルの情景や、伝わる文化や音楽や空気がリアルに描かれています。自分もそのバルにいて、一緒にお酒を飲んで、行き交うスペイン語や音楽を聴き、二人の会話にニヤニヤしている感覚に陥ります。スペイン料理がまた、美味しそう。

 ちょっとハラハラする展開もまた、ぐっと物語に引き込むスパイスでした。

 大人の恋愛って、素敵だな。
 そう思わせてくれる物語です。

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