新橋発、特別急行

「さっきまで、確かに此処に居たンです」
新橋を出発した特別急行。その車内で一人の老婦人が姿を消した。
婦人の目撃者は一人だけ。
大鳳 鏡華《おおとり きょうか》。
一緒に乗車していた彼女は、目的地には未だ到着していないのにかかわらず姿の見えない婦人を心配し車掌に尋ねる。
すると車掌は鏡華に「そんな婦人は見なかった」と告げるのであった。
確かに先刻まで一緒だった婦人が初めからこの列車に乗っていなかったなど、到底受け入れられる筈がない。
一人車内を探す鏡華。貴婦人や占術師、軍人らと出会うが、どこか信頼しきれない。
そんな中、同郷の幼馴染である青年将校、御門《みかど》庸輔《ようすけ》と偶然再会する。
信頼できる仲間を見つけた鏡華は、老婦人の失踪に何らかの背景があるのではと考え始める。

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