概要
こうしてその青いカバは、人知れず世界に遍在しているのです――。
憂鬱な雨の日が最近楽しみになった男子高校生、奥村。
村に迫る危機を知ったエジプトの少年、フサイン。
時間も場所も全く別の場所にいる二人の運命を、青いカバが繋ぐ。
※水害の描写があるので苦手な方はご注意ください。
柴田恭太郎様の自主企画【三題噺#17】「雨」「コンビニ」「ストラップ」に寄せて書きました。
那智風太郎様の自主企画「雨の情景から始まる魂の4000字」に参加するために頑張って字数削りました。https://kakuyomu.jp/user_events/16817330657953083034
村に迫る危機を知ったエジプトの少年、フサイン。
時間も場所も全く別の場所にいる二人の運命を、青いカバが繋ぐ。
※水害の描写があるので苦手な方はご注意ください。
柴田恭太郎様の自主企画【三題噺#17】「雨」「コンビニ」「ストラップ」に寄せて書きました。
那智風太郎様の自主企画「雨の情景から始まる魂の4000字」に参加するために頑張って字数削りました。https://kakuyomu.jp/user_events/16817330657953083034
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!そのインタラクティブな青き救世主はあらゆる時空を超えて偏在する
『雨の情景から始まる魂の4000字』企画 BEST 5
四千字という狭き枠の中で巧みに絡み合わされたデュアルストーリー。
そのひとつは現代、我々が暮らすこの国。
主人公は雨空に小さく浮かれる男子高校生。
彼が雨を心待ちにしている理由。
それは雨天時の通学バスで乗り合わせる違う高校の女子の存在だ。
彼らを巡り合わせたのは青いカバのストラップ。
けれど親密さを増した彼らをある日、厄災が見舞う。
一方、古代イスラムの地。
おそらくはアラビア半島だろうか。
ひとりの老人が小高い丘の上で胡座をかいていた。
傍には青いカバの置物。
彼は村の危機を救おうとその置物に祈りを捧げ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!時を泳ぐカバ
子どもの頃、民俗学系の、地元の博物館に行くのが好きだった。
平日はたいてい空いている。
そこに展示されているものからは、埃くさいのともまた違う、血と汗と土が混じり合ったような濃厚なにおいがしていて、「気分が悪くなる」と云う友だちもいた。
異世界が始まる匂いだ。
しんと静まった建物の中、世界を歩く。アフリカ、ペルー。こちらは先住民族のブース。アボリジニ、エスキモー。
勇壮な戦士の装束も、わたしの背よりも大きなブーメランも、いったい誰の持ち物だったのかは分からない。
展示品の説明プレートを見ると、こう書いてある。
レプリカ。
なんだ模造品か。
ではこの匂いはなんなのだ。確かに…続きを読む