第3話 鈴の音

朝方、私は急いでいた。

だから、今こんなことになっているんだと思う。

あの時注意を怠らなければ、こんなところに落ちては来なかった。

こんなカビ臭くて五月蝿いところ、来たくてきたわけじゃない。

今までの記憶を、もう一度振り返る。




ぱたぱたぱた…

ファンデーションを塗りながら、いそいそと支度をする。

今朝、私は寝坊した。

言い訳になるがスマホが水没してアラームがなくなり、スマホがないから仕事も午前2時くらいまでし、それで明日は会議があるから8時に出社しろ?

「無理言うんじゃないよ…」

悪態をつきながら、準備を進める。

今は…7時47分。もう無理かもしれない…もう出るか。


バタンっ!

私は勢いよくマンションのドアを開け、手に鞄を持ち、家を出た。

マンションの階段を駆け下りた。エレベーターなんて待ってる暇がない。


「っ!」

私はつまずいた。

自分の足に引っかかって、階段から転げ落ちる。

そこから10段くらい下の踊り場に、頭から激突する…

その瞬間、視界が真っ暗になった。

視界というよりは、世界が暗黒に包まれてしまったようだ。


踊り場も暗くなり、私を飲み込むような奥行きのある黒に化わった。

「あっ…」

パニックに陥り、声を上げる間も無く、黒に飲み込まれた。


しゃんっ…

ん?今何か聞こえて…

ごっ!

頭から鈍い音が聞こえ、意識が途切れる。





ここまでが私の記憶…

そもそも、ここはどこ?

全体が黄色く、なんだか不気味だ。

誰もいない。唯一聴こえるのは、耳障りなハム音だけ。

全てが異常だ…とにかく、ここを調べて、何か情報を集めよう…そう思い立ち、

重たい腰を持ち上げ、歩く。

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The Backrooms 呪いの部屋 時雨 莎祺 @creeper7

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