権謀術数と愛憎の渦巻く雅な世界で、クズ男・光源氏をギャフンと言わすべし

クラスメイトを名乗る謎の男の策略により、『源氏物語』の中に転生させられた主人公。
推しの光源氏に会えると喜んだのも束の間、愛しの君は解釈違いで物理的に発光していた上、我が物顔で宮中の女を食い散らかすとんでもないクズ男だった!

帝の後継を巡る、えげつない権力争いの世界。
『朧月夜』こと六の姫に転生した主人公が心惹かれたのは光源氏ではなく、彼の腹違いの兄である優しく誠実な東宮。
はたして彼女は、原作ルートである光源氏との恋愛フラグをへし折りつつ、原作通りに失脚させられるのか?!

これぞまさに『賢いヒロイン』というべき、非常に魅力的な主人公です。
したたかで頭の回転が早く、冷静な駆け引きもできる強い女性。原作の筋も把握しているため、周囲の動きを裏読みしつつ最良の手段を選んでいきます。

優秀な側近の女房・筑紫とのやりとりが軽妙で楽しい。
普段あれだけ冷静でありながら、東宮さまのこととなると臆病になってしまう人間らしさが愛おしい。
大事な人を守るため、運命に抗って、強い意志で光源氏に戦いを挑む姿がたまらなくカッコいい!

本当に面白いです。六の姫が大好きです。
『源氏物語』を詳しく知らなくても楽しめます。詳しい人なら、もっともっと楽しめるでしょう。
多くの人に読んでほしい作品です!

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