雨を愛す 6



 わたしは一体どこで間違えたのだろう?


 ううん、どこで、じゃない。沢山まちがえたね。いちばん最初は生まれてきたときに。つぎはこの世界を明るいものだけだとしんじたとき。さいごは、先生があのホームルームで、わたしにわたしがまちがえた存在であることを示したとき。ねえララ、認識さえしなければ、すべてはないものと一緒だと思わない?わたしたちはきっとこうして、まちがいばかりを重ねて、あともどりできないところまで進んでしまって、それも、しらないうちに、まちがったものだけを選択して。

 けれどわたしおもうの、いちばん悪いのはだれなのかしらね?詮無きことだとおもうだろうけれど、なにがあってもわたしはすべてうけいれるよ。かくごじゃなくて諦めよ。わらっちゃうよね。でもなんとなくわかっているの。


「なにを?」


 そう笑うきみは、いつまでたってもきみに巣食う悪い夢のはなしをわたしに打ち明けてはくれない。いつまでも。いつまでも。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る