どうか、そばにいて。そう彼女は言った。

「本当に阿呆なやつだ。こんなものではその場しのぎに過ぎないと、わかっているだろうに」

そう薬売りは、新妻に言った。
焚けば死者と出会えると言われる、返魂香。
魅せられたのは、はたして。

立ち込める白霧と、薬と香の香り。
妖しくも幻想的、それでもどこか現実みのありそうな、今にでも匂いたちそうな短編です。

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