禁足地開発を背景にした再起の物語

土地と人間。この二つの面で「軽視されるもの」にスポットを当てた作品です。
人間の暗部が丁寧に描かれており、ドラマとしてとても読み応えがあります。

風を意識させる表現が随所に見られるのですが、この風が「陰」として描かれる場面もあれば、「陽」として描かれる場面もあり、読み手の想像力を掻き立てます。

連綿と続く一族の宿命。忍び寄る不穏な気配。先の展開を想像して胸が高鳴ります。
そしてなにより、登場人物がとても魅力的です。つい、応援したくなります。
作中の二人がイチャイチャしているだけで何時間でも読めてしまいます。

リスペクトを込めて、全力でおすすめしたい作品です。

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