精神科ではなくコロナ病棟


 

 世間がクラスター、第何波とコロナで混乱している最中、病棟内も同じくコロナに翻弄されていた。


 

 コロナの患者さんがひとりでたと思ったら、ひとり、またひとり。外部から隔離された閉鎖病棟だろうがお構いなしに、その数はどんどん増えていく。


 

 私の入院していた病棟では、病棟でコロナが発生した場合、病棟内で隔離エリアを設けることになっているようで、日に日に隔離エリア──通称コロナ部屋は増えていった。




『 この服を着ている看護師はコロナ専用の看護師だから話しかけたとしても、通常通りには対応ができません 』


 と病棟内に通達がでるほどだった。防具服を着て、閉鎖病棟の中のさらに閉鎖されたエリアで看護をする看護師さんたちは、勿論精神科の看護師さんだけだった。


 病棟の半分がコロナ部屋になる直前、精神科の看護師さんのなかでコロナ専用の部隊が作られたようだった。コロナ対応に追われて、逼迫した病棟内全体がピリピリとした空気を纏っていた。



 少ないと感じていた看護師さんたちの数もコロナ対応でだんだん減っていき、自分が入院している場所が果たして精神科なのか、コロナ病棟なのか錯覚するほどだった。

 





 

 





 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コロナ世代と精神科閉鎖病棟 2022〜 枝野モズ @mozu_347

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ