第6話 ドラゴン退治後

 俺は魔族であるネフケスの捕縛に失敗する。


(多分、ネフケスは元々俺と戦わず、最初からドラゴンが倒されたら逃げる気だったのだろう。俺を殺すつもりなら、ドラゴンと共闘してきたはずだ)


「そんな奴に逃げられるのは仕方のないことだな」


 自分のミスを仕方のないことにする。


「さて、帰ったら俺の美少女ハーレムが待ってる!はやく帰ってメリッサに癒してもらお!あ、あとついでにルナからも」


 俺はルンルンで山を降りた。




 ラタ村の人たちにドラゴンを討伐した件を伝える。


 その際、ドラゴンの一部を証拠品として提示する。


「おぉ、まさか一日で討伐していただけるとは……」


「ありがとうございます!勇者様!」


 村の人たちから感謝の言葉をもらう。


 この村の村長からも…


「ドラゴンを討伐していただきありがとうございます。おかげで、今夜からぐっすりと寝ることができそうです」


「いえいえ、みなさんの不安を取り除くことができてよかったです!」


 俺は喜んでいる村の人たちを見ながら応える。


 すると、村長は表情を暗くして…


「その、大変申し訳ないのですが、この村はとても貧しく、勇者様にほんの少ししか報酬をお渡しすることができません」


 申し訳なさそうに言う。


「なので……」


「あぁ、報酬なら要りませんよ」


 俺は報酬を渡そうとしている村長を止める。


「で、ですが、勇者様にタダ働きをしていただくわけにはいきませんので」


 しかし、なかなか村長が引き下がってくれない。


「うーん……あ!それなら、俺に渡そうとしているお金で、今から宴をしましょう!今日はこの村の危険が去った記念日です!村の人たちみんなで喜びを分かち合いましょう!」


 俺は村長に提案をする。


 幸い、今は夕方で夜まではまだ少し時間がある。


「そ、それが報酬でもよろしいのですか?」


「はい!この村の美味しい料理をたくさんお願いしますね!」


「ま、任せてください!」


 俺の言葉にようやく村長は笑顔を見せ、テキパキと村の人たちに指示を出す。


(村長もようやく笑顔になってくれたか)


 俺はそんなことを思いながら、宴の準備に入る様子を見守った。




 俺は宴に参加し、一泊してから屋敷に帰る。


 村から出る際は、村の人たち全員からお見送りされた。


(こういうのも嬉しいものだな)


 そんなことを思いながら、来た時と同様のスピードで屋敷へと帰る。


 帰宅後…


「ただいまー」


「おかえりなさいませ、ご主人様」


「あ、おかえりー、シオン」


 メリッサとルナが出迎えてくれる。


「ご主人様、お怪我はありませんか?」


「あぁ。ドラゴン退治くらいで怪我なんかしないよ」


「それはよかったです」


 メリッサが安堵の表情をする。


「ルナ様が仰った通り、ご主人様はドラゴンを無傷で倒すことができるのですね!」


「飛ばれると厄介だが、翼を攻撃して飛べなくすれば、そこまで手こずる敵ではないからな」


 俺はメリッサにそう応えると…


「メリッサったら、シオンのことをすごく心配してたんだから。アタシが大丈夫って何度言ったことか……」


「も、申し訳ありません。ルナ様の言葉を信じることができず…」


「まぁ、シオンの実力を知らない人からすると、ドラゴン退治が楽勝だとは思わないからね」


 どうやら、メリッサを心配させてたらしい。


 そのため、俺はメリッサの頭に自分の手を置き…


「大丈夫だよ、メリッサ。俺はメリッサやルナを置いて死んだりすることはないから」


 そう言いながら、頭を撫でる。


「は、はい……あ、ありがとうございます……」


 メリッサは顔を赤くして、照れながら返答する。


 すると…


「ねぇ、シオン?アタシの目の前でイチャイチャしないでくれる?」


 なぜかルナが俺に向けて杖を構える。


「えっ!そ、そんなことしてないぞ!?俺はただ、メリッサを安心させようと……」


「うるさい!死ね!」


「ちょっ!火の攻撃魔法はやめて!ここ、俺の屋敷だから!燃えるから!」


 俺は必死になってルナを宥めました。




 屋敷が全焼する危機を阻止した俺は、屋敷で休憩後、ルナと聖女フィアナ、戦士レオルドを連れて国王と面会していた。


 ネフケスの件で。


「なるほど。そんなことがあったのか」


「はい。どうやって魔王を復活させるのかはわかりませんが、何か企んでいるようでした。そのため、何か異変のようなものが起こるかもしれません。何かあれば俺たちも協力しますので、遠慮なく依頼してください」


(ホントは淫らな隠居生活を邪魔されたくはないので、出来るだけ依頼のない方向でお願いしたいが)


「シオン、心の声が漏れてるから」


「なっ!」


 全員から呆れられる。


「と、いうわけなので、遠慮なく私たちに依頼してください。特にシオンに」


「あぁ。遠慮なくお願いしよう」


「待ってください!俺はこれから淫らな隠居生活を送るんです!だから依頼は必要最低限でお願いします!」


 俺は国王に頭を下げる。


「さっきと言ってることが全然違うんだが……」


「さっきのは建前です!俺の心の声が漏れてしまったのなら、建前なんてものは要りません!」


「お前、ホントに勇者なのか?」


 レオルドさんからツッコまれました。

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