第3話 第3王女、襲来

 俺の美少女ハーレムにルナが加わる。


 先程までルナとメリッサは仲良く話をしており、区切りがついたところで、ルナは自分の荷物を取りに屋敷を出た。


(よし!ルナがいない間にメリッサの好感度を上げて、エッチなことをしても良い関係まで持ってくぞ!)


 俺は気合を入れて、メリッサに話しかける。


「なぁメリッサ」


「はい、なんでしょうか?」


「えーっと……………」


 俺は話題を探すが…


「「…………………」」


(やべぇ!何を話せばいいのかが分からねぇ!)


 ここに来て童貞のコミュ力を遺憾なく発揮する。


(な、なにを話せば好感度が上がってエッチをさせてくれるんだ?世の童貞じゃない男たちは、どうやってエッチまで関係を進展させたんだろ?)


 最大の難問にぶち当たる。


(てか、そもそも勇者なのに童貞っておかしくね?普通、勇者を見かけたら女の子の方からアプローチしてくるものじゃないの?俺、そんなこと一切なかったんだけど……)


 唐突に何故童貞なのかを考え始める俺。


「あ、あの……お話がないようなら、私からご主人様に聞きたいことがあるのですが……」


 俺はメリッサに話しかけられて現実に戻る。


「あぁ、すまない。聞きたいこととはなんだ?」


「はい。先程、ルナ様が仰っていたのですが、ご主人様は美少女ハーレムを作って淫らな隠居生活を送るために私を雇ったのでしょうか?」


「…………………」


(ちょっと待て。これはなんて答えるのが正解なんだ?YESと答えたらエッチができるのか?それともNOと答えて、地道に関係を築いていけばいいのか?)


 俺は必死に考える。


 考えてもベストな答えなんか出てこないので…


「そうだ。俺は美少女ハーレムを作って淫らな生活を送るためにメリッサを雇った」


 このままエッチな展開になることを望み、正直に答える。


(どうせ誤魔化してもすぐバレると思うからな)


「つ、つまり、わ、私ともエ、エッチがしたい……ということですか?」


 メリッサは顔を赤らめながら言う。


「ま、まぁ。そういうことだ」


 俺も顔が赤くなるのを感じる。


 しばらく無言の時間が続いていると…


「あ、あの!シオン様は貧しい人たちが困っているところを見かけると、無償で引き受ける等々、良い噂は私の耳にも届いております!だ、だから、わ、私は……」


 メリッサが顔を赤くしながら、俺に何かを言おうとしていた時…


「やられた!まさかアタシのいない間にイチャイチャされるなんて!」


「「うわっ!」」


 ルナが突然現れる。


「は、はやいな。もう荷物を持って来たのか?」


「そんなの魔術を使えば楽勝よ」


(無駄に優秀だな!)


「ル、ルナ様!お、おかえりなさいませ!」


「ただいまー!メリッサ、シオンに変なことされてないよね!?」


「は、はい。大丈夫です」


「よかったぁ」


 ルナが安堵する。


(くそっ!ルナのせいで、せっかくの良い雰囲気が台無しになったじゃないか!しかも、メリッサは意を決して何かを言おうとしてたところなのに!)


 そのため…


「な、なぁメリッサ。さっきなんて言おうとしてたんだ?」


 俺はメリッサに先程の言葉の続きを聞く。


「い、いえ!なんでもありません!」


 すると必死に誤魔化される。


(え、誤魔化されたんだが……良い雰囲気だったから「襲って来ても良いよ!」って言われるのかと思ってたのに!)


 俺は誤魔化される元凶を作ったルナを睨む。


「な、なによ?そ、そんなに見つめられると、は、恥ずかしいんだけど……」


「………………」


(あれ?俺の睨みつけるが効いてないんだけど……)


 そんなことを思っていると…


「シオン様はいらっしゃいますか?」


 またもや玄関の方から声が聞こえて来た。


(今度はなんだ?)


 俺たちは玄関の方へ移動すると、そこには護衛を引き連れた、この国の第3王女、ノエル•クルーガーがいた。


 金髪を腰の辺りまで伸ばし、キリッとした目つきをしている美少女。歳は俺の一つ上になり、なかなか立派なお胸を持っている。メリッサには劣るが……。


「突然の訪問となってしまったのだけどいいかしら?」


「ダメと言ったら?」


「この屋敷を燃やすわ」


「ノエルってホントに王女なのか!?」


 毎度のことながら疑いたくなる。


 俺は勇者という立場上、王女たちと交流することが多かった。


 最初の方は俺に丁寧な言葉を使って、俺の気を害さないような喋り方をしていたノエルだが、ある出来事をキッカケに突然、ズバズバと遠慮なく言い始めた。


(まぁ、俺が「思っていることは口に出した方がいい」ってアドバイスしたからなんだろうが……)


 今では俺に遠慮なく言ってくる。


(以前の話し方よりかはコッチの方が好きだが、少しは遠慮してほしい……)


「で、何か用事があるんだろ?」


「えぇ、その前に……そちらのメイドはどなたかしら?」


「あぁ、俺が雇ったメイドのメリッサだ」


「本日より、ご主人様の身の回りのお世話をさせていただく、メリッサと申します」


 メリッサは失礼のないよう、ノエルに挨拶をする。


「へぇー、メリッサさんが淫らな隠居生活を送るにあたってのお世話係ってところかしら?」


「な、なぜそれを?」


「お父様が自慢気に私たち姉妹に話してたわ」


(国王ぉぉぉぉ!!!!)


「そんな淫らな隠居生活を送ろうとしている勇者シオン(笑)に依頼があるわ」


「(笑)って付ける必要なくね!?」


「確かにそうね」


「よかったぁ。理解してくれた……」


「そんな淫らな隠居生活を送ろうとしているシオン(笑)に依頼があるわ」


「(笑)を付けるなって言ったの!勇者は付けてていいんだけど!」


(相変わらず、俺の言ってることを理解してくれねぇ……)


 そんなことを思っていると、護衛の方々が…


「ノエル王女、楽しそうですね」


「あぁ。シオン様と話す時が一番イキイキとしてらっしゃるからな」


「………………」


(俺イジメられてるからね?『微笑ましいね』みたいな空気を作り出さないで?)


 訳の分からないことを話してました。

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