第2話 ルナ、美少女ハーレムに加わる

「おー!すごく広くて綺麗なお屋敷ですね!」


「あぁ、俺もビックリしてる」


 とても広い屋敷で、綺麗な状態に保たれている。


(本来はメイドハーレムを築いて淫らな隠居生活を送る予定だったが、メリッサしか雇うことができなかったから、美少女ハーレムを築くことができていない。どうしようか……)


 俺がリビングで悩んでいると、突然玄関のドアが開く。


「ちょっと、シオン!み、淫らな隠居生活ってどういうことよ!」


 玄関の方で声がしたため、確認すると、勇者パーティーのメンバーである魔術師のルナがいた。


「言葉通りの意味だ。俺は冒険に出ず、この屋敷で美少女ハーレムを築き、淫らな生活を送る予定だ」


「は、はぁ!そ、それってつまり、エ、エッチなことを毎日するってことでしょ!?」


「いや、毎日はしないが、概ねそんな感じだ」


「も、もう美少女ハーレムとやらは完成してるの?」


「それが誤算があってまだ完成してないんだ」


「そ、そうなんだ…」


 ルナはホッとした表情をする。


「な、なら、ア、アタシがシオンの美少女ハーレムとやらの一員になってあげてもいいわ!」


「…………へ?」


(なんで?いつも俺に悪口を言うから俺のこと嫌いなんじゃないの?実は俺と淫らな生活が送りたいとか?)


 俺はルナの言ってたことの真意を理解できず、戸惑う。


「か、勘違いしないでよね!ア、アタシはシオンを監視するために加わるの!べ、別にアタシがシオンと淫らな生活を送りたいとかじゃないんだからねっ!」


「監視かよ!」


 ただの邪魔者でした。


 俺がルナと玄関で話していると…


「ご主人様、紅茶の準備ができましたので、リビングで話してはいかがでしょうか?」


「なっ!」


「お、そうだな。ありがとう」


 俺はメリッサに感謝を伝え、ルナをリビングへと促そうとすると…


「ちょっと!あれは誰よ!?」


 すごい剣幕で詰め寄られる。


「お、俺の淫らな隠居生活をサポートしてくれるメイドのメリッサだ」


「アンタ、まだハーレムは完成してないって!」


「あ、あぁ。メリッサしかいないから、まだ完成はしていない。そ、そんなことより、リビング行こうぜ」


 なぜか怒りの形相となっているルナから一刻も早く逃げるため、俺はリビングへと向かう。


 そのため…


「やられた…。こんなに早くメンバーを集めるなんて…。メンバー集めの邪魔をすれば、アタシがシオンと2人きりで暮らせると思ったのに…」


 ルナの呟きを俺は聞き逃していた。




 俺たちはリビングへ移動し、メリッサの紅茶を飲みながら、ルナに話しかける。


 ちなみに、メリッサは俺のそばで立っている。


「えーっと……ルナさん?ここにはどのような用事で来たのでしょうか?」


「さっき言ったじゃない!アタシがシオンのハーレムに加わってあげるのよ!感謝しなさい!」


「申し訳ありません。俺のハーレムは定員に達したため、お断りします」


「はあ?」


「嘘です。絶賛募集中です」


 ゴミを見るような目で見られました。


「な、ならアタシが加わっても問題ないよね!?」


「えーっと……」


(俺の淫らな隠居生活の邪魔をされそうだから嫌です)


 とは言えないので、返答に困っていると…


「も、もしかして、ア、アタシは可愛くないからダメ……なの?」


 ルナが不安な顔をしながら上目遣いで聞いてくる。


「い、いや!ルナはとても可愛いぞ!?」


「よ、よかったぁ。な、なら、アタシが加わってもいいんじゃないの?」


「うっ!」


(やべぇ!このままだと断れない……あっ!この方法なら断れるぞ!)


「ふっふっふー。ルナよ。言い忘れていたが、俺の美少女ハーレムに加わるには条件がある」


「な、なによ?」


「その条件は、俺と淫らな隠居生活を送る覚悟があることだ!」


 “ボッ!”とルナの顔が一瞬で赤くなる。


(俺のことが嫌いなルナのことだ。これで監視を諦めてくれるだろう!)


 俺は素晴らしい返答に満足していると…


「………ならある」


「ん?」


「覚悟ならあるって言ってるの!」


「……………は?」


(おかしい、俺は幻聴でも聞こえたのか?)


「そ、それはつまり、俺とエッチいことをしてもいいと言うことだぞ!?」


「へ、変態シオンを監視するために仕方なくよ!べ、別にアタシがシオンと、エ、エッチがしたいとかそんなんじゃないんだからね!」


 顔を赤くしながら早口で言う。


 どうやら俺を監視するために仕方なく我慢するらしい。


 だが…


(か、覚悟があるなら襲っても問題ないってことだよな?「襲ってもいいよ」とは言われてないが……)


 “ゴクリっ”と唾を飲み込む。


 俺はエロい手付きをしながら立ち上がり、ルナに詰め寄ろうとすると…


「ご、ご主人様。わ、私も、エ、エッチなことをされるのでしょうか?」


 側に立っていたメリッサに聞かれる。


「い、いや!俺は許可をもらった人しか襲わないぞ!?だ、だから、許可をもらってないメリッサを襲うこととかはない!」


「な、なら、なぜ今ルナ様を襲おうとしているのでしょうか?」


「そ、それは、襲われても良い覚悟があるらしいから……」


「…………………」


「すみません、ダメですよね」


 メリッサにジト目で見られる。


「あ、襲ってこないんだ……」


 何故かガッカリした顔でルナが言う。


 俺は仕方なくエロい手付きを止め、ソファーに腰掛ける。


「と、とにかく!アタシはシオンに襲われる覚悟があるから、この家に住んでも良いよね!?」


「えっ!この家に住むの!?」


「あ、当たり前よ!ア、アタシはシオンの、ハ、ハーレムに加わるのよ!だからこの家に住んでもいいよね!?」


(俺の淫らな隠居生活を邪魔されそうだから断る!)


 とは言えず、断る材料も思いつかないので…


「はぁ、仕方ない。俺の美少女ハーレムに加えてやろう」


「やった!じゃなかった…アタシがいる限り、メリッサとイチャイチャなんかさせないからねっ!」


(くそぅ!メリッサに対してはエッチの許可をもらうため、まずは親密度をあげないといけないのに!ルナの奴、マジで邪魔!)


 淫らな隠居生活が全然始まる気配がしない俺であった。

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