第7話 フィアナ、美少女ハーレムに加わる

 俺たちは国王と面会後、一度、全員で俺の屋敷に移動する。


「で、そのネフケスとかいう魔族は本当に魔王が復活するって言ったんだな?」


 レオルドさんが聞いてくる。


「はい。方法まではわかりませんが…」


「それなら、近々、何か異変が起こりそうですね」


「そうね、大きな事件に発展しなければいいけど…」


 フィアナとルナも心配する。


 すると、レオルドさんが…


「お前らに話しておきたいことがある」


 真剣なトーンで話し始める。


「俺の体は長年の戦いでガタが来てるようなんだ。だから、引き受けれる依頼と受けることのできない依頼があると思う。特に、長旅となるものは断る予定だ。大変なことになりそうなのに、あまり力になれず申し訳ない。お前らに負担を掛けることになるとは思うが、よろしく頼む」


 レオルドさんが俺たちに頭を下げる。


「そんなこと気にしないでください!勇者パーティー結成時はレオルドさんに助けられてばっかりだったんです!」


「そうです!なので今度はアタシたちがレオルドさんを助ける番です!」


「はい!なので、今回はレオルドさんができる範囲で構いません!」


「お前ら………ありがとう!」


 レオルドさんは俺たちに感謝の言葉を言う。


(レオルドさんは魔王との戦いでかなり無理をしてくれた。だから、俺たちがレオルドさんの分まで頑張らないと!)


 そう心の中で誓うが…


(あれ?ということは俺の仕事が増えるってことじゃね?)


 今更ながら気づく。


(いつになったら童貞を卒業できるんだよぉぉぉぉ!!!!)


 俺は心で叫んだ。




 レオルドさんたちとの話が終わり、レオルドさんが屋敷から出る。


「なぁ、なんでルナとフィアナはここに居座ってんだ?」


「ちょっと!シオン!今、アタシまで邪魔者扱いしたでしょ!」


「ちっ!バレたか!はやくフィアナと一緒にルナもどこかへ行ってほしいのに!」


「へぇ、ここを焼け野原にしたいようね?」


「冗談だ!ルナは俺の美少女ハーレムの1人だからな!いつまでもここに居てくれ!」


(くそぅ!俺がメリッサの好感度を上げられねぇ!)


 すると、フィアナが…


「2人とも、喧嘩はメッ!ですよ?」


 俺たちを注意する。


「いや、そんな口調で言われても……」


「はぁ、相変わらず、アタシたちのお姉さんをしたいようね」


「当然です!私の方が2人より1歳年上ですから!」


 聖女フィアナは勇者パーティーの時から、俺たちのお姉さんがしたいらしく、いつも「お姉ちゃんに任せてください!」と、言ってくる。そして、ことごとく失敗する。


(フィアナって、聖女関連のこと以外は何もできないんだよなぁ……)


「で、なんでフィアナはここにいるんだ?そろそろ教会に戻った方が……」


「あ、それなら、私もこの屋敷に住むことにしたので、教会に帰る必要はありません!」


「「はぁ!?」」


 俺とルナのリアクションが被る。


「正確には今決めました!」


 大きな胸を張ってフィアナが堂々と言う。


 それを聞いて、俺とルナが緊急の作戦会議を始める。


「おい、どうにかして断れ」


「そうね、断ることには賛成だけど、アタシには無理よ。あの状態のフィアナは聞く耳を持たないから」


「だよなぁ」


 今も「ここでシオンくんたちと共同生活!楽しみです!」とか、言っている。


 勇者パーティーの頃からの経験上、あの状態のフィアナは俺たちの話を一向に聞かず、毎度、事件を起こしてくれる。


 1番ひどい出来事は、フィアナに料理をお願いしたら、なぜか野宿用のテントが全焼した挙句、魔物たちにバレ、空腹の中、一日中戦い続けることになった。


「おい。俺、フィアナのやらかしで、この屋敷を全焼なんかさせたくないぞ?」


「それはメリッサがいるから大丈夫なんじゃない?」


「たしかに!」


(メリッサが家事全般を担当すれば大丈夫か。だが、フィアナのことだ。何をするかわからねぇ)


 そのため…


「俺はこの家に爆弾を抱えたくないので、断る方向に誘導しよう」


「そうね、アタシも協力するわ」


 俺たちは協力関係を築く。


 そして、ルナがフィアナに話しかける。


「ねぇ、フィアナ。教会の人たちはここに住むことを許してくれないと思うんだけど……」


「あ、それは大丈夫です!いつも『頼むから、はやく出て行って!』って言われてるので!」


「「…………………」」


 教会の方でも厄介な存在らしい。


「私にお付き合いしている男性なんていないのに、いつも言われるんですよね……」


 どうやら、フィアナは教会の人たちの言葉を「はやく同棲しろ!」と、捉えてるらしい。


「やっぱりダメね」


「仕方ない。俺に任せろ」


 俺はルナにそう言って、フィアナに話しかける。


「フィアナ、この屋敷は誰でも住めるわけじゃない。住むためには条件があるんだ」


「それはなんなのでしょうか?」


「あぁ、それは……」


 俺は大事なことなので溜めを作る。


 そして…


「俺と淫らな関係になる覚悟がある人しか、ここには住めない!」


「それくらいなら問題ありませんよ」


「だろ?だから、今すぐここから出て行った……はい?」


(あれ?今、問題ないって言わなかったか?)


「私は教会に所属してますので、子供を作ることはできませんが、シオンくんの性欲解消はお姉ちゃんの仕事です!なので、お姉ちゃんに任せてください!」


「マ、マジで!?」


 俺はテンションが上がる。


(おいおい!童貞卒業は無理らしいが、淫らな関係はいいらしいぞ!?ってことはあの巨乳にいつでも触っていいってことだろ!?俺、初めてフィアナの「お姉ちゃんに任せてください!」って言葉に喜んでる!)


「よし!なら、ここに住むことを……」


「ダメに決まってるでしょ?」


「はい、そうですよね」


 ルナに殺気を放たれながら、杖を突きつけられる。


(マジでルナが邪魔なんだけどぉぉぉ!!!)


 俺は心の中で叫んだ。





 俺は命を失いたくないので、泣く泣くフィアナを追い出す方へと促す。


「すまない、フィアナ。一つ言い忘れていたが、ここは俺と子供を作る行為ができない人は住めないんだ」


(そんなことないんだよ!?ホントはフィアナの巨乳でぱふぱふするだけでもいいんだよ!?)


「そうなんですね。それは教会を引退しなければできない行為なので、シオンくんのお願いを聞き入れることは難しいです」


 フィアナが残念がる。


「あぁ、すまない。だからフィアナはこの屋敷から……」


「と、いうことは、シオンくんはルナちゃんと子作りをしてるってことですね!」


「「!?」」


 驚きの切り返しをしてくる。


「そ、そんなことまだしてないわよ!」


 ルナが慌てて否定する。


「あれ?でも、ここに住むためにはシオンくんと子作りしなければいけないんですよね?」


「うっ!」


 ルナが反論できず、言葉を詰まらせる。


 かくゆう俺も反論できない。


「してないのなら、することのできない私が住んでも問題ないと思うのですが……」


「い、いずれ!いずれ、俺たちはそんな関係になるんだ!」


「そ、そうよ!い、今は恥ずかしくて、シオンと、エ、エッチはできてないけど、キ、キスから始めて、い、いずれは、け、結婚して幸せな家庭を……」


「なんの話!?なんで結婚って言葉がでてきてんの!?」


 しかし、俺の声は聞こえてないらしく、今も顔を赤くして目を回している。


「ふふっ、やっぱりルナちゃんは可愛いですね」


 フィアナが、わけのわからないことを言ってました。




 いろいろあったが、結局フィアナは俺の屋敷に住むこととなった。


(まぁ、仕方ない。あの切り返しをされたら、どう頑張っても抵抗できないからな)


 そんなことを思っていると、フィアナが俺に近づいてきて、耳元で…


「エッチなことをしたくなったら、お姉ちゃんにいつでも声をかけてね」


 そう囁かれる。


(お、おい!こ、これは「今日の夜、夜這い待ってるからね!」ってことだろ!?)


 俺はテンションが上がった。




 そして、その日の夜……


 俺は、フィアナの部屋の前で正座していた。


 ルナにバレて。

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