深海さんが22年12月に掲載した作品ですが、本当に素晴らしい。
タイトル、ストーリー、描写、どれも一級品です。青春のせつない物語で、若い方にはぜひ読んで欲しいですし、年配の作家さん達も一度読まれることをお勧めします。特に描写が素晴らしい回が幾つもあり、目を見張ります。さらに最後の数話は本当に感動しますので最後まで読まれることをお勧めします。私は小坂流加さんの『余命10年』に匹敵する名作だと思います。
実に30人もの方が絶賛のレビューをしておりますので、まずはそちらだけでも眺めてみてください。一部を参照させていただきますと、下記の通りです。
「言語化できない感情の波に攫われていく本当に素晴らしい物語」
「情景が素晴らしくオススメです」
「夏の暑さと青春の爽やかさ」
「『書籍化』されてもおかしくない!感動間違いなしのヒューマンドラマ!!」
電車に飛び込もうとした少女を救ったそのときから、憂鬱だった響の人生は色づきはじめる。
どこか儚げな少女、海月。
まっすぐで鈍感な響。
底抜けに明るい親友の拓馬と静香。
四人が紡ぐ青春の一瞬一瞬は、きっと一生忘れられない。
初々しい高校生の恋と、「命」という重いテーマのアンバランスが作り出す、不安定に震える彼らの心情が魅力。
これだけ一緒に居るのにまだどこかわかり合えない。たくさん言葉を重ねても、まだ相手が見えない。気づいたときにはもう遅くて、焦って、でも全力で互いを信じ続ける。
不安定さと表裏一体の彼らの強さに圧倒されました。
作者の深海かやさんの魅力である美しくダイナミックで、ワンシーンを焼き付けるような情景描写が効いています。
とにかくきれいな作品。
最後には切ないような、満ち足りたような気持ちとともに、晴れ晴れとした瑠璃色が余韻として残ります。
くらげのように、ふわふわとした読後感だと思いました。
絶望や、やるせなさもある。
それなのに、高校生4人の日々はきらきらと輝いて眩しい。それだけでなく、4人が常に美しい風景、色彩の中にいるのがとても印象的でした。それぐらい情景描写がとても素敵なのです。
基本的には響の視点で描かれていくのですが、途中で誰かの日記が挟み込まれ物語を読む手が止まらなくなります。読者を引き込む構成も素晴らしいです。
この取り止めのない感情、何かに似ているな……と考えていたらそれが「人生」なのだと気がついたのは随分後になってからでした。
この物語には人生の喜びも悲しみもドキドキも……全てが詰まっている。そんな気がします。
儚げな少女、海月の「私、くらげになりたいから」とはどういう意味なのか。そして彼女の抱える秘密とは?
是非あなたの目で淡く美しい景色と共に4人の青春、いや、人生を見届けてください。