そこから抜け出す方法は多分ある。ただし本気が必要なのだ。

好意を寄せる相手と過ごす時間は高揚感に満ちていて、同じくらいの感覚で相手も楽しく感じてくれていたらいいなと思うもの。
でもそうして眺めている光景は、全体像のほんの一側面にしか過ぎなかったりして。

ごく身近なところから突きつけられた社会の仄暗さが、家とバイト先の往復から、もっと広い世界に目を向けるきっかけになる。

喪失感、やるせなさ、無力感……
そういったものが良い意味でバネとなったと解釈するには、時間も必要ですよね。
少なくとも忘れられない記憶の中に彼女の居場所がある。
そう思うことで救済されるのが、自分だけではないと良いなと思わずにはいられません。

隣に居ない彼女は器用で頼りになって、居るだけで春の温かみを感じて。
けれど少しばかりの器用さは、不器用にしか生きられないしがらみになってしまうこともあるのかもと考えさせられました。

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