先に読んでもいいかもしれない後書き

 最後までお読みいただきありがとうございました!


 この『女神は月夜に降臨する』の着想を得たのは遥か昔、『古事記』を読んだ時でした。


 イザナキとイザナミの逸話は有名なので、ご存知の方もおられると思いますが、アマテラス(天照大御神)が生まれた後の二人がその後どうなったかは書かれていません。

 イザナキとイザナミ、二人の生を最後まで描いてみたいという欲求が生まれたのが全ての発端です。


 ナオクスヒメは悪霊退治をする女神としてツクヨミ(月読)とヨモツ(黄泉津大神)から生まれた神ですが、私の創造物なのでもちろん『古事記』には出てきません。

 でも、いてもよさそうな神、ということでこの作品の主人公となっております。


 舞台は平安時代、藤原氏全盛期。

 神話として完成するのなら、時代設定はせず、完全にファンタジーでも良かったのですが……

 『大鏡』を読んでいると怨霊だの祟りだのと、現実離れしたエピソードが満載で、どう見てもファンタジー世界なんですよね。


 そんなわけで、そのままナオクスヒメが活躍する時代に設定いたしました。


 では、ヒロインの相手役は?


 資料を読み漁っていく中で興味を覚えたのが、藤原頼通という人間でした。


 宇治平等院を作ったことで有名ですが、史実に残る彼は権力をほしいままにしている父、道長の長男であるがゆえ、父の言うなりになって生きなければならない境遇にあります。


 それに加え、妻にした相手が悪かった。


 正妻である隆姫の父、具平親王は死んだ後も死霊となって「隆姫をないがしろにするな」と脅してきます。

 そして、頼通に女二宮の降嫁の話が持ちあがると一家総出で猛反対。

 頼通は心痛のあまり倒れてしまいます。

(本作ではこのエピソードは違う側面から見た形で描いています。)


 そんな彼が本気で隆姫以外の女性に恋したら、どんなことになるのかと思うとなかなか面白いのではないかと思ったのです。


 特に一章から始まる長和四年(1015年)は、『大鏡』の他に『小右記』(藤原実資著)、『御堂関白記』(藤原道長著)でもネタになりそうなイベントが記載されていた年でした。


 以下、作中に出てくる場面は、史実通りに起こったことになります。

(原因や目的は変えてありますが)


―帝が病にかかって、頼通に女二宮の降嫁の話が持ち上がる

―道長の五十賀

―最終章の内裏炎上 etc.


 頼通が正室の隆姫との間に子供が生まれなかったのも、史実通りとなっております。

 跡継ぎは養子を迎えたとか……(ここはウヤムヤにしておきます)


 ちなみに、女二宮の降嫁の話は作中の帝の言葉通り、『具平親王の祟り』で白紙になって、後に弟の教通が結婚することになったようです。

 



 時代は約千年前。現代まではまだまだ時間があります。


 ナオクスヒメや他の神々がその後、流れゆく時の中でどう人間たちと関わり合っていくのか――。

 機会があったら書いてみたいと思っています。


 その時は活動報告でお知らせいたしますので、ぜひフォローお願いいたします<m(__)m>


 この度は、誠にありがとうございました!



2023年1月13日(誕生日♪) 糀野アオ

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