可憐な少女の裏の顔は贋作怪盗エリザベス!彼女の運命やいかに?

平和な街エレクトイで颯爽と活躍するのは、贋作ばかりを狙う怪盗エリザベス。彼女の目的は「魔法の泉」から生み出された「硝子の蜃気楼」という贋作を探し当て、それらを無に還すことです。

まず何よりも読者を惹きつけるのは、主人公であるエリザベスの爽快さとカッコよさ。彼女は父と違って魔法を使うことはできませんが、小道具や身のこなしを活かしてターゲットに近づきます。迫りくる警察の手を華麗に交わし、目的を果たす彼女の行動は読んでいてとてもワクワクします。
もちろん怪盗にとって大事なライバルの存在も顕在。エリザベスを追う警察官の青年、ニックは真面目で職務に忠実な男ですが、すんでのところでいつもエリザベスに逃げられてしまいます。
怪盗ものの作品としてはかなり王道で、多くの読者が想定するであろう要素がギュッと詰まっているのが嬉しいポイント。華麗に活躍する怪盗にライバルの警察官。彼女の協力者である贋作職人の少年コリンと変装の達人である情報屋のダニエルの存在も物語に彩りとスパイスを与えてくれます。
おまけにエリザベスとニックはプライベートでは知り合いで、ニックはエリザベスに気がある様子。(もちろんニックはエリザベスの正体が怪盗だとは知りません)
だけど王道だからこそそこに作者の腕が光ります。

エリザベスが「硝子の蜃気楼」を狙うのは父の無念を晴らすため。だけども怪盗行為は世間やニックにとっては犯罪行為であることは間違いありません。贋作とわかっていながらもその作品を大事にしていた持ち主から作品を奪ってしまったことへの罪悪感、エリザベスを追うことによって怪我を負ってしまったニックに心を痛めるなど、次第に彼女は自身の行いに疑問を持つようになっていきます。

はたして彼女は正体を隠したまま父の無念を晴らすことができるのか?それともニックに捕まってしまうのか?
そして先が気になる見どころで読者を惹きつけつつ、物語は終盤で一気に転機を見せます。
タイトルにもある「贋作怪盗」――その真の意味を知った時、もうあなたはこの物語の結末を見届けずにはいられなくなるでしょう。

心優しく健気で頑張り屋。華麗に活躍するカッコいい少女怪盗の活躍を見届けてください。

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