悪友の美少女に誕生日は甘々でお願いします。って頼んだら態度が甘々になった件〜いや、俺が頼んだのは食べ物を甘々にしてくれってことなんだけど〜
タカ 536号機
第1話 悪友は勘違いをする
「うーん」
「おっ、起きたか?」
「えっ?」
俺はその日、体をおこそうとして……固まった。俺は何度も夢じゃないかと確かめるがどれだけつねっても痛みがある。
そして俺の真上では俺の幼馴染かつ悪友である
そもそもこうして
なら何故か? 理由はとてもシンプル。何故なら真菰の膝に俺の頭があるからだ。
要するに俺は今、真菰に膝枕をされているのである。真菰の黒の長い髪が顔に少しかかってくすぐったい。っじゃなくて!
「ま、真菰?」
「んっ、どうかしたか?」
「いや、どうかしたか?じゃなくてだな、これどういうことだ?」
「あぁ、そ、その
俺としてはからかっているのが濃厚だろうな、と思いながら尋ねたわけだがそんな風に少し怒り気味に返されて困惑してしまう。
見れば真菰の顔が珍しく赤くなっている気がしなくもない。つまり真菰も膝枕は恥ずかしいのだ。それで少し怒っているということか……。
そこまで考えて俺はあることに気づく。
誕生日? 俺が頼んだ? それって……お菓子のことじゃね!?
一か月前くらいに真菰に「今年は誕生日プレゼントなにがいい?」って聞かれて俺は確かに「今年は甘々でお願いします」って必死に頼み込んだのであった。
というのも毎年俺の誕生日に真菰はお菓子を作って持ってきてくれるのだ。今までで要望を聞かれたことはなかったので、去年真菰から貰ったお菓子がロシアンルーレット式で辛い物を食べてしまったことを思い出した俺はそうお願いしたのだ。
余談であるが俺は甘党であり去年、真菰はそれを分かっていてイタズラを仕掛けてきたのだ。
俺としては真菰は「今年はお菓子はどんなのがいい?」って意味で聞いていると思っていたので「甘々」と答えたわけだが……今日の膝枕や誕生日というワードを聞く限り……真菰は勘違いをしていることに気がついた。
「ま、真菰! 実はだな」
「おっと、落ち着けって。今日は私が甘やかしてやるから……よ? やるからには全力だ」
俺は慌てて立ち上がって真菰が勘違いしていることを伝えようとするが真菰に肩を掴まれ、再び真菰に膝に頭を乗っけてしまう。
「ッッ!?」
起きてから実は少し頭を浮かせて直接は触れないようにしていた真菰の太ももに当たってしまい俺は危うく意識を持っていかれそうになる。ぐっ早くどかないと本当にマズい。
「いつも私のせいで疲れてるだろうからな。
今日くらいはたんと私の膝で休め」
しかし真菰はそんなことを言い俺を離してくれない。くっそ、柔らかい。確か俺の枕も相当柔らかいもののはずだがこれとは格が違う。
俺の枕を銃とするなら真菰の膝枕はバズーカ。首の辺りにプニッという感触があたる
そして匂いも強力だ。全てを包み込むようなお日様みたいにいい匂いがする。これを嗅いでしまえば俺は真菰の膝の上でグッスリと眠ることになってしまうだろう。
しかし、真菰も簡単には離してくれそうにない。ここは……攻め方を変えるか。
「な、なぁ真菰?」
「んっ?」
「そ、そのぉ俺にこんなことするの……い、嫌じゃなかったのか?」
「ッッ!? そ、そんなわけねぇだろっ」
俺は真菰の真意を確かめようと尋ねるが返ってきたのは予想外の返事であった。俺は攻撃の芽を失い固まってしまう。しかしそんな俺に構うことなく少し照れ臭そうに真菰は続ける。
「大体こんなこと相手が
「へっ?」
「そこら辺の男に頼まれたってやるわけないだろ? そ、そのぉお前だけ……だよ?」
少し頰をかきながらそんなことを言う真菰に俺の思考が追いつかない。破壊力がエグすぎる。真菰はなにを言っている? なんか今とんでもないこと言われなかった? 情報がまとまり切らず俺の脳がショートしかけていると、
「真菰ちゃーん、持ってきたわよ」
「
佐原 仁香こと俺の母親がなにかを持ち部屋に入ってきた。
「母さん!?」
勿論、慌てたのは俺である。そもそも女子に膝枕されてる所を実の母親に見られたい奴なんていないだろう。
慌てた俺は手を振ってなんとか否定しようと試みるが……。
プニンッ。
「あっ」
「へあっ!?」
「あらまぁ」
今俺がいるのは真菰の膝の上。その真上で手を動かそうものなら当然真菰の豊満なあそこに当たってしまうわけで……。
「ごっ、ごめん真菰」
「ッッ〜〜〜ッッッッ!!!?」
俺は慌てて手を引っ込めて謝るが真菰の顔はどんどん赤くなっていく。そして真菰はそんな顔を手で覆い隠してしまう。
相当怒ってるんだろう。俺はそうなると最早やらためったらに動くことは出来ずその場でとどまるのだった。
*
「さ、さっきは誠に申し訳ありませんでした」
俺は母さんがなにやら置いて「2人の時間を邪魔するほど野暮な女じゃないので〜」とか言いながら去っていくのを確認してから俺は慎重に真菰に声をかける。絶対怒ってるだろうな。そもそもあれで怒ってなかったらおかしいけど。
「……いや、いいよ。そもそも私が仁香さんも来るって言わなかったのが原因だしな」
「いい……のか?」
これまた予想外の返事に俺は戸惑ってしまう。
「でも! 私以外にあんなことしちゃダメだからな? 私だったから許したけどそうじゃなかったらアウトだからな」
「そもそも俺に膝枕してくれる相手なんていないんだけどな」
必死な顔をしてそんなことを言ってくる真菰に対し俺は冷静に返す。多分、心配してくれてるんだろうけど……正直膝枕のせいでなにも入ってこないというのが本音だ。
「そうか……そうだよな! 私以外にこんな相手いないよな」
「お、おう。そうだけど……ってか結局母さんはなにを持ってきたんだ?」
真菰が嬉しそうに笑うので少し恥ずかしくなった俺は話題を逸らすことにした。
「んっ? なにって……
「そ、そうなのか。じゃあさっそく起きて食べるか」
俺はいい口実が出来たなと思い真菰から離れようとする……が。
「いいって、いいって私が食わせてやるから」
「なっ!?」
しかし再び掴まれ真菰の太ももへと戻らされてしまう。つーか食べさせるってなに!?
も、もしかして……。
「ほら、アーン」
「ちょ、真菰!?」
気がつけば真菰の手には箸が握られており俺の口には白い米が迫っていた。
「恥ずかしがってないで……ほら、食えって」
「うぐっ」
真菰にそんな甘い声で囁かれてしまっては断ることなど出来ない俺は仕方なく口を開く。
その瞬間に米が口の中に滑り込んで来る。
「どうだ?」
「上手い」
いつも食べている米のはずなのに今日は異様においしい。まるで別物みたいだ。口の中いっぱいに幸せが広がっていくみたいに甘い味がする。
「そうか……なら良かった」
「ッッッッ〜〜!?」
そしてそんな俺の反応を見て真菰が柔らかい笑みを浮かべる。そんな真菰を見て……俺はっっ。俺はっっ!
限界だ。途中から言おうか迷っていた。真菰が勘違いしていることを……。でも、真菰は嫌じゃないと言ってくれたし指摘をすると真菰に恥をかかせてしまうと思ってたから。
でも、これ以上はダメだ! 俺の理性が保てない。だからっっ。
「ま、真菰? 落ち着いて聞いてくれ、実はな?」
「どうしたんだ?」
*
俺は自分がお菓子を甘くしてくれと言う意味で甘々でと言ったこと、真菰がそれを勘違いしているということをなるべく真菰が傷つかない形で語った。
「なっ、なっ、お、お前ぇ〜」
「本当にスマン!! お前に恥かかせるわけにはいかないと思って言わなかったんだがすまなかった……」
ようやく真菰の膝枕から離れることが出来た俺は真菰に対し正面から真剣に謝る。そもそも俺が紛らわしい言い方をしなければ起こらなかった事態だ。
「…………ってたし!」
「えっ?」
普段なら見ることなどないほど顔を真っ赤にした真菰が絞り出した言葉は小さく思わず聞き返してしまう。
「そ、そんなこと最初から分かってたしっっっっっ!!!! 分かっててやったんだからなっっっ!!!」
最早苦し紛れにしか聞こえない言葉だが耳まで真っ赤にしてそんなことをプルプルと震えながら言う真菰を見て……俺の脳は限界値を超えた。
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なんとなく気分で書きました。伸びなかったら消すかもです。
一応、今日はあと1話くらい投稿するつもりですが……伸びたらあと2話投稿するかもです。続きが見たい方は星や応援お願いします。基本的にコメントは返信します。
次回「悪友は誤魔化したい」
では!
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