第9話 悪友は告白したい


 雷太がマンガを読み終わったのか去り際に「なんかあったら呼べよ〜」とか言いながら部屋を出て行ってから私は改めて考える。

 そもそも充は私をどんな風に見ているのか?

 ……悪友だろうな。私だってついさっきまでそういう認識だったんだから。


 そんな人間に告白されたら? ……充は誠実だからな好きじゃないけど付き合うようなマネはしないだろう……つまりジ・エンド。

 私と充は気まずくなり今までのようには話せない。終わってね? いや、でもやると決めたらやるのが私だしな。

 ここで勇気出さずにどうする? も、もしかしたら充の方が私のことを好きだったという可能性だって……ないか。


 いやだったらやっぱり友達のままでいる方が幸せなのか? 正直、私はまだ恋なんてよく分からない。知識程度には知っているが実際自分がするなんて思ってもみなかったからな。

 でも、この胸の高鳴りと緊張は恋なんだろう。

 今、充のことを少し考えると自分でも信じられないくらい顔が熱くなるんだ。

 そうだ、まだ私に恋は難しい。だからこそこの気持ちは伝えたい。分かるようになるまで伝えたい。結婚なんて今まで考えたことなかったけど……充ならいいって思ってしまった。


 だって充とずっと一緒にいれるんだから。


 そうだ、だから私は伝えるんだ。なにをウジウジ悩んでいる? 私は真菰だろ? 好きなようにやるだけだ。……とはいえ、告白の成功率は少しでも上げたい。

 誰かに相談したいが雷太はない、充もない、母さんもない。となると誰に相談すりゃいいんだ?


 ……ここに来て充としか関わってこなかったことの弊害が出たな。

 どうする? 少しでも話したことある奴、少しでも……まさかアイツか?


「いや、ないないない」


 むしろアイツに相談したら失敗するだろ?

 それに相談するだけ無駄だ。……でも、私よりはマシかも……。

 頼むってのか? アイツに? 凄いニヤニヤされそうだが今の私が頼れるのはアイツしかいねぇ。


 その日、私は今日からはもっと友好関係を広く持つことを決意した後に、そいつに連絡を入れるのだった。



 *



 時は進みいよいよ、私の誕生日本番。毎年のようにやって来た充を出迎えた私は尋常ではないほど緊張していた。さっきから手汗はヤバイわ、足はガクガク震えているわけで限界に近い。


「なぁなぁ、今日はなにがしたいんだ?」


 しかし、目の前の充にはそれがバレていない。これは好都合。充は私が渡したクッションの上に座ると私の返事を待つかのように見つめてくる。

 去年までの私なら「スナブラで充は空中ジャンプ禁止な? 負けたら罰ゲームありで」とか笑いながら答えていたんだろうな。

 1年で1度いつもより充をからかえる日だ。楽しくないわけがない。


 でも、今年は違う。ヤバイ。本当に……。

 だがアイツのアドバイスによればなるべく平常通りに取り繕わなければならないらしい。

 そこで充が油断した隙をついて耳元で愛を囁く。静と動が大事らしい。よく分からないけど。

 ギャップというもの活かせとのこと。


「ん? ど、どうした?」


 私が固まってしまったのを見て充が少し焦ったような態度をとる。今しかない。

 震えるな。しぼり出せ声を。近づけ!

 あれだけ沢山練習したんだ。告白……するんだよ。

 私は少し慌てている充の側に素早く近づくと充の耳元に口を寄せる。


「へっ?」


 しかし、次の瞬間には私の右腕が充によって掴まれ逆に充の口が私の耳元の近くにある状態に変わってしまった。


「お、おい、みつ____」


 慌てた私が充に何事か尋ねようとするが次の瞬間には、


「真菰……お前のことが好きだよ」


 そんな充の声が私の耳元で囁かれていた。




 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


 どうもー、みんなのアイドルハヤテちゃんでーす。もう、今疲れてるんで……本当に!

 いつもみたいにウザキャラ演じる余裕もないんだよ。もう、本当に疲れたのさ。

 みんな僕はもう疲れたんだ……ちょっと眠らせてはくれないかい?


 あっ、というか思い出したら頭痛が……。

 もう、本当に……つか……れた。


 結論:ハヤテのじょぉぉぉぉぉぉお(次回 俺の悪友は最高に可愛いです)


 ちなみに次回最終回。良かったら星や応援お願いします。


 では!

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