最終話 俺の悪友は最高に可愛いです


「真菰……俺はお前のことが好きだ」


 充のそんな声が耳元で囁かれ私の思考が一瞬停止する。


「へっ?」

「っっ、ったく何度もいわせないでくれよ。……俺は真菰のことが好きだ」


 私から少し離れ、再び私と向かい会った充は少し恥ずかしそうにしながらまたそんなことをいう。充に告白されている。そんな事実が信じられない私は否定しようとするが充の目から真剣さが伝わってきてなにも言えなくなってしまう。


「1年くらい前だ。俺がたまたまお前が俺の知らない奴と話して笑っている所を見てしまった時に嫌だなと思ったんだ」

「待って、待ってよ」


 私は思わぬ事態に混乱しなんとか止めようとするが充は止まらない。


「俺だけにその笑顔を見せてくれって思ったんだ。……要するに俺は知らないうちに嫉妬してたんだ。最近になってそのことにようやく気付いたよ。……お前は俺のことただの友達としか思ってないかもしれない。でも、俺はお前のことが好きだ。だから付き合ってくれ!!」

「っっっっっ!!!?///」


 そう言って手を差し出された私は、私は……。なにを恐れてる? 掴むべきもんはここにある。思い出せ特訓を……。形は違ったがここで伝えないでなんになる?


 自分の言葉で自分の意思を伝えるんだ! 全部。


 *


 俺は震えた手を差し出し、真菰の答えを待つ。ここまでは上手くやれた。アイツとの特訓のおかげだ。もう、あとは結果に身を任せるだけだ。だけど、俺はそれが怖い。振られてしまう、そんなことを考えると平静を保てなくなる。しかし、その時はついに来た。


 パァン。俺の差し出した手が真菰に払いのけられる。そして、


「っっ!?」


 次の瞬間には俺は真菰によって抱きしめられていた。真菰の体温、真菰の心臓の鼓動、真菰の匂い、すべてが伝わってくる。気づけば俺を抱きしめる真菰の手も震えていた。


「ま、真菰!?」


 俺は真菰に尋ねるが、真菰は俺をギュウッと抱きしめるばかりでなにも喋ってはくれない。ただ黙って俺を抱きしめる。そんな時間が1分ほど続いただろうか。

 すると黙り込んでいた真菰が俺の耳元に口を寄せると囁いた。


「私も……なんだ。私はずっと充が側にいて欲しい。どこにもいかないで欲しい。ただ……私の隣にいて欲しい。こんな気持ち私には似合わないのかもしれない。でも伝えたかった。……私も充のことが好きだ。好きなんだ!」

「真菰……」


 俺はそんな真菰の答えを聞き俺も強くそれでいて壊れないように優しく自らの手で真菰を抱きしめる。離れないように。真菰とずっといられるように……そして俺達は時が経つのを忘れしばらくの間お互いに抱きしめ合うのだった。



 *



「フッ、充は情けないな。恥ずかしくなって抱きしめるのをやめるなんて」


 俺を得意げに見つめる真菰を見て少し悔しくなった俺は思わず言い返す。


「えっ? それってもっと抱きしめて欲しかったってこと?」

「なっっっ!!?// そ、そんなことない」

「……でも、真菰俺のこと好きって言ってたじゃん。だからもっと抱きしめて欲しかったんだろ?」


 普段の俺なら絶対にしない行動。でも、俺はそれ以上に今日の可愛い真菰を逃したくはなかった。


「そ、それは…………そうだけどよ//」

「えっ!?」


 思わぬ素直な返答に俺が固まるとそんな俺を見た真菰が更に顔を赤くしていく。


「お、お前が言わせたようなもんなのにその反応はないだろ! ……私だって恥ずかしいの覚悟で言ったのに……」

「……」

「な、なんか言えよ」


 真菰の可愛いすぎる反応に最早いじることすら出来ない俺は少し上目遣いで見つめてくる真菰に対しなんとか言葉を発する。


「いや、俺の彼女が可愛すぎるなって……」

「なっ//、なっ//、だ、誰が彼女だ!?」


 俺の言葉に更に顔を赤くし耳もすべて真っ赤になってしまった真菰は余程混乱しているのか変なことを口走る。


「えっ? 違うのか?」

「っっっっっ〜〜〜!!!?// ち、違くわねぇけど……。その……なんというか」

「……違うのか?」

「あぁぁぁ〜〜〜!!! っもう。彼女だよ。だからそんな顔すんなって!!」


 俺が少し落ち込んだ素ぶりを見せると真菰が慌てたようにそんなことを言う。


「最初からそう言ってくれればいいのに……」

「……充、お前は意外と意地悪であったことが今日分かった」

「嫌いになった?」


 少しジト目で俺を見てくる真菰に対し俺はそう返す。


「そ、そんなわけないだろ! す、好きだよ? ってこういうところだからな!? 聞いてんのか? ニヤニヤしてんじゃねぇよ!!//」

「……はぁ」


 俺の悪友かのじょがどうしようもなく可愛いので俺はどうしたらいいんだ。俺は俺の前で騒ぎ続ける真菰を見ながらそんなことを考えるのだった。



 第1部完


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 スラムダン◯ばりに第2部の目処が立っていないので実質終了です。本当にここまでありがとうございました。


 皆さんの温かいお言葉や応援の甲斐あって完結を迎えることが出来ました。短編というには長く、長編というにはあまりに短い本作でしたが少しでも楽しんで頂けたのでしたら嬉しいことです。


 少しでも良かったと思ってくだされば星や応援お願いします。次の新作に向けての力とさせて頂きます。




 そんな本作ですが実は番外編なども予定しております。この告白の裏にあったある1人の少女の奮闘記。「プロジェクトβ〜Hちゃんの苦労〜」や「悪友とデート」と短編仕様のものです。

 他にもなにか書いて欲しいものがありましたら是非言ってください。なるべく頑張ります。


 それでは完全な終わりではないですが本編はここまでです。本当に今までありがとうございました!


 また、番外編や新作などでもよろしくお願いします!! ここまで読んでくださった皆様に最大の感謝を込めて!!


 せーの……。


 あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!?

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悪友の美少女に誕生日は甘々でお願いします。って頼んだら態度が甘々になった件〜いや、俺が頼んだのは食べ物を甘々にしてくれってことなんだけど〜 タカ 536号機 @KATAIESUOKUOK

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