第8話 悪友は自覚する
注意:今回はハヤテちゃんは登場しません。ジャンルがコメディに変わってしまうので……。
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「あっっもう!!!」
私は今日何度目か分からない声を上げると席から立ち上がる。周りのクラスメイトが一瞬ビクッとするが私はそんなことを気にしている余裕などなく頭を手でかき回す。
頭の中でループする「充くんのこと意識しちゃって話せなかったりして」というハヤテの言葉。
それが私をかき回す。フラッシュバックしてくる充がふとした時に見せる笑顔、優しそうな瞳って馬鹿か、私は? なんで今、さらに赤くなっちまうようなことを考えたんだよぉ。
あぁ、本当に授業に集中出来ねぇ。……最悪だ。
*
「お、おい。真菰……?」
授業も終わり後は帰るだけ……という時間に充が心配そうな顔をして私の前までやって来た。恐らく充のことだから私が意地張ってこないから意を汲んで話しかけなかったが流石に長いの心配して来てくれたのだろう。
……相変わらずいい奴だ。普段の私ならニカッと笑ってそれに答えるんだろう、
でも、でも今日は……今はっっ!!
「わ、私は大丈夫だ。だ、だからそれ以上近づいて……くるんじゃねぇ」
「真菰……?」
無理だっっ!! 顔も合わせられない。近くにいるというだけで運動をしたわけでもないのに心臓が意識しなくても自分で分かるくらい音を立てている。
ピトッ。私が充の顔からなんとか目を背けていると私の髪がどかされおでこになにかが当たった感触を感じた。
「えっ? お、お、お前なにして……」
「なにって熱測ってんだよ。さっきから様子変だし……顔も赤い」
私のおでこには充の手が当たっていた。いつもならなんてことない。ない。なかったはずなのに……。
「だっ、大丈夫だ!! だから手を離せ」
「大丈夫じゃないだろ。めっちゃ赤いし……熱はなさそうだけど」
「本当にお願いだ。おでこから手を離してくれっ」
私はなんとか必死に頼みこむ。これ以上は、これ以上は保たない。だから……。
「嫌だ。というか本当にさっきから変だし……なにか隠してないか?」
そう言って更に顔を近づけてくる充。いつもみたいな分かりづらい表情じゃなくて、本当に私を心配した顔つき。それに対し私は更に自分の中で熱が上がっていくのを感じた。
そっか私は……私の気持ちは……。
「真菰!? 真菰っ!?」
そこで限界を迎えた私は意識を失った……。
*
「う、うん?」
「あー、やっと姉ちゃん起きた」
「雷太?……って私はなんでベッドで寝てんだ!? 学校は?」
私のイスに座り漫画を読んでいる雷太が私が目を開けるとそこにはいた。私はさっきまで学校にいた……よな?
「はぁ、姉ちゃんは倒れたんだよ。学校で。しかも充兄さんの前でね。ちゃんと息はしてたし少し熱があるくらいでそれ以外は正常だったからさすがに救急車は呼ばれなかったけど、お母さんが迎えに行ってここまで運んで来たの。さっきまでお母さんもいたんだけど仕事が忙しくてまた戻ってちゃったけど……」
「迷惑かけたな……」
そうか、私は倒れて……倒れて……充が近づいたから? それだけで? いやいや、ただの体調不良だろう?
『充くんのこと意識しちゃって話せなかったりして』
「どうしたの姉ちゃん? なんか姉ちゃんとは思えないほど女の顔してるけど?」
「っっばか!! そ、そんなわけないだろ?」
「……もしかしてまた充兄さんとなにかあったの?」
雷太はなにかを感じとったような顔でそんなことを聞いてくるが私は答えない。いや、答えられない。少しでも意識を逸らさないと充の顔がフラッシュバックする。
すると自然と顔が熱くなってくる。私は分かってしまった。自分の気持ちって奴を……。
どれだけガサツな私でも、どれだけ鈍くても気づいちまうくらい私は……充のことが好きなんだって……。
でも、だからと言って簡単に割り切ることは出来ない。元々、充は私のただの相棒でそこに愛はあっても恋はなかったのだから。
認めるのはっっっ、恥ずかしい。
でも、自覚して大人しくなったりうじうじするのは私らしくないから。だからっ……私は来月の私の誕生日に充に告白する。
「ん? どうしたの姉ちゃん? 急に拳をギュッってやって……なんの儀式?」
「う、うるせぇ。いちいち気にするな」
「体調不良者の動向は気にするだろ? ……大分、充兄さん心配そうにしてたぞ? なにがあったか分からないけど治ったら1番最初に伝えに行ってやれよ?」
「……言われなくても……」
元よりそのつもりだ。もう、逃げない。恐れない。そんなことじゃ気持ちを伝えることが出来るはずもないのだから。
「あれ? 姉ちゃん意外と素直? やっぱりなんかあったの?」
「うるせぇっっ!!」
でもまずはその前にこのうるさくて何故か鋭い我が弟を黙らせないとな。うん。
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あとがき(ハヤテバージョン)
ヤッホー、みんなのハヤテちゃんだよー!!
今回は本編に出番がないので出張してきましたとさ。フッ、みんな僕に会いたかったろ?
これは僕からみんなへの一足早いクリスマスの……
どうだい? 嬉しいでしょう? ってことで僕にかわりに1万円払ってね? ふっ、これこそ僕の考えた最強の金稼ぎの方法。勝手に押し付けて金回収。どうだ! これなら僕はすぐに億万長者に……えっ、ちょ誰? けっ、警察ぅ?
ぼ、僕なにかしましたっけ? たった今?
……いや、ちょっと記憶にないというか、ハハッ。えっ? いやちょっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!?
結論:あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!?(訳:次回 悪友は告白したい)
本編で出てこないと思ったら勝手にあとがきで暴れてました。なんか、すいません。
もし、良かったら星や応援お願いします。多分あと2、3話ほどで完結しますので……。
あっ、あと短編書きました。1話完結です。
良かったら読んでくださいな。タイトルに反してたりします。
「彼女が知らない男とラブホへと向かって行く所を見てしまったのだが何故か直前でその男が入りたくないと抵抗するのを何故彼氏である俺が目撃しなければならないのか?」
←https://kakuyomu.jp/works/16817330650194601474
では!
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