第7話 悪友は近づきたい


「それで僕に話したいことってなんだい?」


 私の前でニコニコと笑い無邪気な表情を覗かせるハヤテ。(歩いてる途中に勝手に名乗ってきた)こ、コイツ私みたいな乱暴な凶犬に体育館裏に呼ばれて平然としてるとか本当か!?

 私、結構女子からも避けられるんだかなぁ。←みんな仲良くしたいけど充くんと話してるのを邪魔できないだけ。


「なんなんだい? HEY! 真菰ちゃんの話したいことっ! 打ち明けておくれ! 聞かせておくれ! to………me僕に


 なんか音楽かけて歌い始めたんだが!? 本当にコイツなんなんだよ!


「ていうか、ラジカセどこから持ってきたんだよ」

「ハヤテちゃんはこんなこともあろうかと常時持ち歩いてるYO?」

「……意味が分からん」


 さも、当然でしょと言わんばかりのハヤテの対応に頭が混乱する。あと、「えっ、逆になんで持ち歩いてないんだい?」的な顔ヤメろ! 私が間違ってるみたいに思えてくるだろうが。


「フフッ、僕が真菰ちゃんがなにを話したいかズバリ当ててあげよう。…………カッ!」


 しばらく間をおいて自分で「カッ!」とか言いながら目を見開くハヤテ。


「ズバリ……「ハヤテちゃん付き合ってください!」だね?」

「悪りぃけど1ミリもあってない」


 自信満々な顔でそんなことを言ってくるハヤテに私は冷静に返す。そしてしばらく黙り込むハヤテ。


「実は……という線は?」

「ない」

「僕が魅力的すぎてむしろ好きだけど告白出来ないという線は?」

「ない」

「諦めなけれ____」

「ない」

「違ったかぁぁあ。ピンっと来たんだけどなぁ」


 そんなことを叫びながら地面に突っ伏すハヤテ。どうやら私に告白して欲しいというより予想を外したことが悔しかっただけみたいだ。……マジでコイツの考えが読めん。


「じゃあ、充くん関連だね?」

「……一応正解だ」


 そしてすぐさま立ち上がり何事もなかったかのように尋ねてくるハヤテ。……一体この茶番はなんだったんだ。


「まぁ、ちょっと話したかっただけだ。さっき充と楽しそうに話してたからな。……実は親しかったりするのか?」


 私は少し身構えながらそう尋ねる。何故か充と女が距離が近いと不安な気持ちになるのだ。……コイツを女と分類するかは微妙だが顔やスタイルだけで言えばめっちゃ綺麗な見た目をしているからな。


 ほとんど手入れされいないのに何故か美しさすら感じる黒のショートカット。人の目を引きつけるしっかりと開いた少し茶色がかった目。そんな運動系元気女子みたい見た目をしながらもそれに似合わないほどの胸。


 まあ、性格のせいで女子っぽさはほとんどないが……って私の言えることじゃないか。

 ともかく私はコイツが何故だか怖い。もし、ここで親しいなんて言われようものなら……。


「ほぼ初対面だけど?」

「流石にそれは嘘だろ!」

「本当だよー! いつもは真菰ちゃんガードが固いからね〜。話してみたら思ったよりノリが良くて好きって感じかなぁ」

「好きっ!?」

「うん」


 思わぬ回答に私は固まってしまう。しょ、初対面ってワードで安心したのに……。い、いや充が誰に好きになられようが関係ないけどな。


「それで今話してて真菰ちゃんも好きだなぁ。ってか僕は僕のクラスのみんなが好きなんだ。みんな変わった子ばっかで面白いしね」

「えっ? あっ、うん」


 違った。コイツに恋愛とかいう概念は存在しないらしい。……私もねぇけどな。


「それで充くんのことだったよね〜。あっそう言えば僕頼まれてたんだ。ねぇ、真菰ちゃんなんで今日は充くんと話してないの?」

「ほぼ初対面のお前に話すとでも?」


 私としては私が勘違いして勝手に飛び出して、挙げ句の果てにそれが恥ずかしくて顔すら合わせられてないんだ。こ、こんなこと他人に話せるかっ!!!


「話して」

「はっ?」

「話して」

「な、なんで……」

「だってさぁ真菰ちゃんって充くん以外に話す相手いなさそうだし……僕なら聞いてあげるよ? そしてパーフェクトな僕なら解決間違いなし! どうする?」

「いや、どうするもなにも」

「充くんとこのまま話せなくていいのかい?」

「…………実はだな」

「フンフン」


 気づけば私は目の前でニコニコしているハヤテに全てを打ち明けていた。




「えっ、馬鹿なの?」

「うっ!」


 グサッ。ハヤテに無邪気にそう返され私は何も言い返せず固まってしまう。


「普通に今日会って話せば良かっただけじゃん」

「お、お前なぁ」

「普通に話しかけるぐらいしか方法ないと思うよ?」

「わ、分かってるよっ!」


 私だって本当は分かってるんだ。こんなとこで相談してる暇があるなら普通に話しに行くべきだって……。でも、でもぉ。

 とそこで私の顔を見たハヤテが軽いジョークを言うかのように発言する。


「もしかして真菰ちゃん……充くんを意識しちゃって話せてなかったりして。ってそれはないか! アッハッハッハ」

「っっっっ〜〜〜〜っっ!!!?//」


 私の全身が熱くなっていくのを感じる。なにも入ってこない。なんで、なんでっっ。


「えっ? マジなパターン?」


 そんな私の様子を見たハヤテは固まってしまう。


「ハヤテ……お前ぇぇ」

「ちょっ、えっこれ僕が悪いの? ちょっ、やめ来るな、あっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!?」


 その日体育館裏にハヤテの悲鳴が響き渡った。



 *


 クラスメイト達視点


「ちょっ、やめ来るな、あっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!!?」←体育館裏から聞こえてくるハヤテの悲鳴。


(ハ、ハヤテぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?)


 みんなの心の中のハヤテ「みんな……カニって美味いよね」(笑顔でピース)


(カニ食いテぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?)


 結論:カニだった。



 →→→→→→→→→→→→→→→→→→→→


 違うんですよ。本当に違うんです。こんな回じゃなかったんです。ハヤテ投入しただけでこんな回になってた。……特になんなんだカニのくだり……頭おかしいだろ。


 次回はハヤテ封印します。危険キャラすぎる。本来ここまでのキャラじゃなかったのに。 ってか裏事情話すとハヤテ元々男設定だったり……。


 あっ、ハヤテが充くんととかはないで安心してくださいね。


 ちなみにこの話そこまで長くないんで近いうちに完結すると思います。(ボソッ)


 よ、良かったら星や応援お願いします。(今回は貰えない気もする) で、では〜。


 次回「悪友は自覚する」





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