恋は苦しくて切なくて思い通りにならなくて、それでも素晴らしいもの

 政略結婚の年の差婚(23歳)だけど幸せな恋愛結婚がしたい! な王女様の物語です。恋愛小説が愛読書のエレノア姫は、国同士の関係も周囲の悲嘆も侍女の現実目線のツッコミもものともせずに、まだ見ぬ婚約者と魂が惹かれ合うように恋をするものだと信じて疑わずに異国に嫁ぐのですが──

 大丈夫かなあ、という読者の不安通り、エレノア姫に突き付けられる「現実」は甘いものだけではありません。嫁ぎ先でも浴びせられる同情、あるいは疑いの目、形だけの結婚を提案する婚約者(23歳年上)、貴族や王族の思惑──何よりも、「恋に恋しているだけだったの?」と気付いてしまったり。
 挫けてしまってもおかしくないところ、それでも幸せな恋を諦めないエレノアが可愛く健気でそして強くて、心から応援したくなります。ふんわりとした憧れから「貴方だからこそ恋がしたい! 幸せになりたい!」と自分を見つめなおし、控えめすぎる婚約者(23歳年上)にアタックし続ける彼女に「そうだそうだ!」とこぶしを握ってエールを送りながら読んでいました。

 恋をするって素敵だな、と心から思える可愛らしく心温まる作品、お勧めです!

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