五感と理性に訴えかけてくる美しい(だけじゃない)物語

最後まで読み切りましたので、改めてレビューをさせていただきます。
*以前のレビューは末尾に残しています。

一言でいうと、「素晴らしい!」です。
30万文字超と文字数だけ見ると長編としては割と長いんですが、全く気になりませんでした。文章がまず巧みで全く疲れないんですよね。これは小説猛者の仕事です。
表現の美しさ、言葉の豊富さ・巧みさも読んでて飽きない。
こと、「花」の描写が見事です。色、形、匂い、場合によっては肌触り。まさに五感に訴えてきます。見事だと思いました。

以前のレビュー(↓)にもある通り、とにかく人物の解像度が高い。とにかく高い。どういう人生を歩み、どういう思考を身に着け、どういう判断をするか――そういうことに対する説得力が凄まじいのです。彼ら、彼女らの「判断」を見ても「ですよね」と読者としては深く納得せざるを得ない。一本芯の通ったキャラクターが完成しているからこそなんですよね、これが。

どの登場人物も(もちろん敵役も)、皆「信念」を持っていて、だからこそ読んでる側としては感情がぐちゃぐちゃにさせられます。あまり書くとネタバレになるのでアレですが、とにかく人物がいい。どのキャラクターもいい。特定のキャラクターにヘイトを集めず、それぞれの「良さ」で読者(というか私)を惹きつける描写というのはすごい能力の結実だと思います。どのキャラが一番好きかと言われると割と迷いますが、ティカちゃんです(←迷ってない) いや、でも、他のキャラクターもイイんです。ほかの魔女たち――レイモンドもディエンもフラウも実に良い。

高い解像度は、人物ばかりではないのです。世界そのものもフルハイビジョンで描かれています。3年前の革命から始まる一連の流れ。アンナ・ビルツとルー・アージェント、裏庭、魔女たち……その関係性。練りに練られた世界観が、これでもか、これでもか、と、それでいて過不足なしに描かれています。その中で人物たちは成長し、あるいは変化し……というところも、実に見事に描かれています。驚きでした。

とにかく最後の最後まで全く気が抜けない物語です。
語ろうと思えば三日くらい語れる(その半分はティカちゃんについてのトーク)くらい、熱量のある作品です。

自信を持って 強 く オ ス ス メ したい逸品でございます。


(以下、以前のレビュー)―――――
第二章読み終わったところで我慢できなくなったのでレビューを投下します。
続きも非常に気になっていて、じゃぁ読めよって感じではあるのですが、この物語は "いち早く" もっと知られるべきと思い、レビューを投下させていただく次第。

※ネタバレ回避(フィルタつけたくない)のため若干歯切れの悪いレビューになりますがご了承ください。

まず人物。
主人公のアンナを始め、登場人物が多数出てくるのですが、どれもこれもキャラが立っててすごい。ティカとフラウなんて最高でしょ(※個人の感想です)
もちろん主人公のキャラの濃さといったらまぁすごいんです。
勘違いや妄想特急のスピードも凄いんだけど、キャラクターとしての温度差もすごい。
ふわふわ・ぽわぽわ系のキャラと侮っていると……。
「推し」が必ず見つかります。

物語・舞台設定。
「本当によく練り込まれてるなぁ」と感じたのはレビュー書いてる今の段階で、読んでる最中はそんな事自体意識させない。
設定面もこれがアツい。魔女もそうだけど、社会情勢とかも。随所に挟まれる過去とか、それに対する現在とか。

とにかくマイナス的に見られる要素が見当たらない。
思わず絶賛したくなること請け合いです。

あと、一見すると女性向け(ジャンル「恋愛」だし)なのですが、男性の私でもとても楽しめております。ご安心ください。

非常におもしろいです。とにかくおすすめしたい。

私も続きを読まなければ。

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