千紫万紅

やや硬質な文章が古めの時代背景に映えて、とても鮮やか。
そんな時代に生きていたこともないのに、なぜだか郷愁を感じる不思議な世界観。
LEDの煌々とした灯りじゃなく、蝋燭の炎のような仄暗い灯りのもとで繰り広げられる物語は、身体の芯にぞくりとした感覚を味わわせてくれます。
ファンタジーではなく、御伽噺とでもいうのがふさわしいような。
精緻な筆文字で書かれているかのような錯覚を覚える、美しい文章と彩りに狂うような読みを楽しみたい方に。ぜひ、どうぞ。

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