この作品で主な舞台となるのは、Rainingというショットバーです。マスターの修斗さんの元には、日によってさまざまな人間や吸血鬼が訪れます。
この作品に漂う雰囲気は、バーが舞台ということもあり、大人びた感じがします。私はバーに行ったことがないんですが、まるで実際に訪れているような空気感を味わえて、ちょっと大人な世界を覗いている気分になれちゃいます。
群像劇ということで沢山のキャラクターが登場しますが、それぞれ個性があるので、貴方の推しも見つかるかもしれません。ちなみに、紹介文のリンクから登場人物紹介のエッセイに飛べるという、素敵な気配りもありますよ!
ローファンタジーが好きな方や、バーの空気感を追体験してみたい方におすすめの作品です。これを読んでいる貴方もよかったら、Rainingに訪れてみませんか?
吸血鬼が出てくる小説ですが、ホラー要素はありません。
バー「Raining(レイニング)」には、たまに吸血鬼のお客様がいらっしゃいます。
彼らはこのバーで提供されるあるカクテルを飲みにやってくるのです。
現代日本に吸血鬼が生息しているというお話。
彼らは人知れず人間社会に暮らし、生活しています。そしてこの物語は、そんな吸血鬼が通うバーと、彼らに絡む人間たちのお話。
それぞれのエピソードで、吸血鬼や人間たちにスポットが当てられ、それぞれの恋や生活、結婚の問題なんかが語られます。
吸血鬼と吸血鬼の話だったり、吸血鬼と人のカップルの話だったり。いずれにしろ、激しい話はありません。
夜、日が暮れてから開き、深夜に閉まるバーを舞台に、まるでカウンターの上でグラスを傾けるように、静かに、ゆっくりと流れる時間を楽しむ群像劇。
大事件は起きないんですけれど、この、バーにいるような落ち着いた雰囲気が毎回つづき、不思議とその世界にハマります。
なんとなく、その気はなくとも、ついつい毎晩立ち寄ってしまう。そんな小説です。