第17話 さ~て次の作品は!!・豆知識

「あの日はごめんなさいね。いつの間にか寝てしまっていたみたいで。今日は好きなだけ食べてちょうだい」

 あれから数日が経ち、レオはおばあちゃんちにあらためて招待された。目の前には、またレオの大好きなお寿司が。


 レオのマシンに大感謝している学が、レオに寿司を取り分けようと皿とはしを構えてたずねる。

「レオ。あの日は本当に助かったよ。ありがとう。イカはいかが? イクラは、いくらいる?」

「ひとり1つずつにして。人数分しかないから」

 リーナが桶の中をちらっと見て、淡々と言う。するとすかさず、

「リーナ! ソレはダジャレですヨ!」

 という声が響いた。

「イクラ、いくら!? いーくらいデ!」


 ふっとリーナが口元をゆるめた。

「リーナ! ぼくのダジャレには笑わないのに、トトには笑ったな」

 学がふてくされてみせる。

「だって……トトが自分からダジャレを言うなんて」

 楽しそうなリーナの姿に、おばあちゃんもうれしそうだ。


 あれ以来、となりのおばさんが文句を言ってくることはなくなった。庭がきれいになったんだから当然だけど、でももしかすると、理由はそれだけじゃないのかもしれない。縁側から夏ミカンの木をながめるおとなりさんの目は、なつかしい宝物を見るような目をしていた。


「それにしても、本当にすてきなお庭をありがとう。あなたたちがいっしょになれば、きっとすごい物を作るんじゃないかと思ってリーナを呼んだのだけれど、期待以上だったわ」

 おばあちゃんがレオにウィンクした。レオはくすぐったい気持ちになり、なんて返事をしようか考える。すると、トトが先に、

「そうデスか? アリガトウございマス! リーナとトト、天才デスから! 天才! ジーニアス! アブカリー!」

 と、ご機嫌で言った。

「ふふ。そうねえ」

 おばあちゃんがトトの言葉に笑ってうなずく。


(あれ? あなたたちって、リーナとトトのことだったのかな?)

 まあいいや、と思いながら、レオはお寿司に手を伸ばす。と――


「今はトトのことを言ってるんじゃないよ……」

 リーナが言った。

 ああ、そんなことを言ったらまた……。レオと学がヒヤッとして、トトを見る。

「どうしてデスカ!? なんで、リーナとトトじゃないですカ!? リーナのベストパートナーは、トトじゃないですカ!?」

 案の定、トトがパニックになってさわぎだした。しかしリーナは以前とはちがい、目を合わせるようにしっかりと、トトに向き合った。トトにあるのは目じゃなくてカメラだけど。


「心配しないで。トトはもちろん、わたしの大の友だち」

 リーナに見つめられて、トトがすうっと落ち着いていく。

「でもさっきの言葉は、レオに伝えなくてはならないこと。なぜならこの前、とても楽しかったから。でしょう?」

 考えこむように、トトの光がクルクルと回る。


「だからまた、今度いっしょに何か作ろう。ね、レオ。何か、すごいもの」

 そう言ってリーナは、レオの方を見た。


「ぼくこそ」

 自分の作ったものが、まるで生きているみたいに動き回るなんて、夢みたいだった。

「またいっしょに、すごいものが作りたい!」

 これからも。

 今すぐにでも。


「じゃあさっそく何作りたい? あ、ばあちゃん腰が悪いんだったら、買い物とか困ってるんじゃない!? それともコックロボットとか作ってあげる!?」

 トトがビカビカっと強く光った。

「トトに手を作ってクダサイ! そうすればトトガ、おばあさまのお手伝いイタシマス!」

「スーパー・ソード・マシンがこの前切り落とした枝を使って、なんか作ってみるとかはどうだ?」

「ダメデス! トトの手デス! トトの手ヲ、お願いシマス!」


 にぎやかな声がひびく。

 レオと学に、強力な友だちがひとり――いやふたり増えました!


★ここで豆知識!★

 さて、この物語のタイトルに出てくる「天才少女ハッカー」というのは、いったいだれのことだと思う?

 もちろんわかるよね? そう、リーナのことだよ。リーナは天才プログラマーだよね。「ハッカー」というのは、コンピュータやネットワークなどの技術的なことに詳しくて、新しいものを作ったり改良したりできる人のことをいうんだ。

 でも「ハッカー」という言葉を、コンピューターに悪いことをする人という意味で使う場合もあるよ。悪い人を指す場合は「クラッカー(壊す人という意味の英語)」と呼ぶのが正確なんだけどね。

 リーナはもちろん、いい意味でのハッカーだよ。まぎらわしいので、こういう時は「ホワイトハッカー」と呼んだりもするんだ。

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天才少女ハッカーと友だちになった日、ぼくの作ったマシンに魂が宿って最強になりました! 宮 都 @MiyaMiyako

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