天使とは人間を守護し幸福をもたらすもの、悪魔とは人間を陥れ不幸にするもの、一般認識としてはそんな感じでしょう。だけど、果たしてそう一律に括れるものなのか? そもそも目の前にいる人物が天使なのか悪魔なのか、あなたは認識出来ていますか?
それを知ることが幸福なのか知らずに生きるのが幸福なのか、それは分かりませんし人それぞれでしょう。天使のように見えて底知れぬ闇を持つ少女を中心に繰り広げられる、人の心の闇の応酬。それが好意なのか悪意なのか、疑心暗鬼に包まれながら描写される物語の深淵をご覧ください、きっと心を鷲掴みにされると思いますよ?
卓也さんと香苗さんが引き取る養子の心美ちゃん。彼女は中学生とは思えないほど美しくしっかりとしていますが、したたかでもあり卓也さんを混乱させていきます。
最初はほんの少しの違和感だったのが次々と展開が進み、大きな違和感になった頃にはもう戻れないところまで来てしまっている。
このゾッとする恐ろしさが癖になるというか、怖いと思いつつも先が気になって読み進めてしまいます。
一番怖いのはやはり心美ちゃんでしょうか。彼女のやっているであろうこと、全てが本当に大人をぎゃーっと驚かせるぐらい、怖いの一言です。
その背景にあるのはきっと「家族関係」になるかと思いますが家族というものはここまで人を変えるものなのかと、だけどそれも現実的にはあり得るのかもしれないとも思います。
読めば読むほど、自分さえも心美ちゃんという沼の深みにはまっていきそうです。本格的なミステリーをぜひご覧いただきたいです。
愛する妻のため、望まれた"家族"を作るために、柳瀬卓也は14歳の少女・心美を養子に迎えた。美しく聡明な少女との生活は、ぎこちなくも穏やかに始まる——そう思っていた。
しかし、心美はただの"娘"ではなかった。
優等生の仮面の裏に潜む、奇妙に大人びた仕草。異様なほど近すぎる距離感。彼女が微笑むたび、卓也の中に生まれる得体の知れない違和感。そして、彼の周囲で次々と起こる不可解な出来事。
「パパ、大好き。」
その甘く囁かれる言葉に、なぜか寒気が走る。
この子はいったい何者なのか?
徐々に侵食されていく"普通の家族"の形。決して後戻りできない、禁忌の扉を開いてしまった男が最後に見るものとは?
主人公とその妻は、子供のできない体だった
そこで児童養護施設から引き取ったのが、十四歳の心美──悪魔である
心美と共に暮らし始めてから、さまざまな歯車が狂い始めた
その中心にいるのは、いつも心美だった
本作品を読んでいると、真綿で首を絞められているかのような気分になってくる
綿で包めば首は暖かい
だが、その綿はいつの間にか外せなくなっている
逃げるタイミングは確実にあったのに、まるで茹でガエルのようにそれを逃してしまう
主人公と読者は、同じ感想を抱くだろう
「ああ、あのとき逃げ出していれば」
いわゆる人コワ系のホラーである本作品だが、主人公に執着する心美の姿が本当に妖しく、魅力的でもあり、そして不穏で恐ろしい
冒頭の死体は、果たして誰のものなのか
圧倒的な筆致で描かれる結末を、不安ながらも楽しみにしておこう
※アカウント利用停止措置を受けたため、本レビューは再投稿となります
ある夏の日、子供がいない柳瀬夫妻は養護施設から一人の養子を迎えた。
高橋心美ちゃん、14歳。
聡明で礼儀正しく容姿端麗……などという言葉では言い尽くせない、何もかもを見通すかのような大きな瞳、魅惑的な唇、目が離せなくなるような美しさ。
優しく誠実な父親、理解のある母親、そこに迎えられた美しい娘。パズルのピースがはまるかのように収まった理想的な家族の像は、日を追うごとに少しずつ壊れていく。後になって思えば彼女を迎えた日が「終わりの始まり」だったに違いない……。
父親の卓也さんは一言で言えば誠実、少なくとも必死に誠実であろうとします。過去の出来事から家族というものに憧れ、家族のために考え模索し行動し、得体の知れない恐怖の中でもがき続けます。
一方の娘、心美ちゃんは……一言で言い表すことは到底不可能です。その大きな目で心の奥底を覗き、美しい顔の裏で人を操る策を巡らせ、小さく膨らんだ胸の奥で狂気を育て続けています。
それはまさに悪魔の智謀。卓也さんが手探りで求め続けた道を先回りして一つ一つ潰し、生ぬるい甘美な底なし沼に引きずり込む悪魔の所業。
決して逃れられない恐怖、貴方も是非ご体感ください。
子供に恵まれなかった柳瀬卓也と香苗は、長い不妊治療の末に養子としてひとりの女の子を引き取る事にした。少女は14歳。気立てが良くて聡明な彼女の名前は高橋心美。大人びた印象と子供らしい無邪気さを兼ね備えていて、ふたりにとっても良縁だったと、この時は疑うこともなく……。
それはある出来事をきっかけにして、少しずつ転がりだす。
不穏な気配。まるで別人かのような。目の前の少女の本性がどんどん表に出てきて、これは本当に14歳の少女なのかと疑ってしまうほどに。
この作品は純粋なヒューマンホラーという感じ。第一話を読んだ時点でもはやバッドエンド確定なんですよね。しかしこれがどうしてこうなったのか、と考察していくのもいいのですが、物語の流れに身を任せて主人公に感情移入する方がずっと面白い。心美ちゃんの小悪魔的な誘いを、動揺しながら「娘なんだから」というワードでかわしまくる主人公の鈍感さが、じわじわと恐怖と不安に変わっていく様が生々しく描かれており、読んでいる側も手に汗握る場面が多々!
序盤の初々しい印象から、こいつなにかやってるんじゃ……という不信感がどんどん強くなっていくのです。その純真無垢な悪意に、あなたも騙されるかも?
人間ドラマではありますが、もちろんフィクションです。父と娘の関係とか、かなり背徳感もあり、苦手な方もいるかも。しかし蓋を開けてみれば、その部分がぞくりと冷たい『得体の知らないモノ』として描かれている今作。純粋にサスペンスとして楽しめる一級品なのです。
作者さまの作品は私の知る限り、かなりHPを変化させられるような強い言葉たちで溢れております。時に殴られ、時に癒される。そんな魂のこもった文章をぜひ堪能あれ。
この作品は、現代ドラマ、サスペンス、ヒューマンホラーが好きな方におすすめの作品です✨
ホラー、サスペンス、偏愛、考察、エロス
どれか一つでも刺ささるなら楽しめる上に、上記の要素も味わえます
主人公の卓也に対して異常な執着をみせる心美
彼女の行動の異様さ、年齢不相応の挙動に目を持っていかれますが
そもそも彼女は何故、卓也に執着するのか
卓也夫妻は心美を選んだが、逆に選ばれていたのではとまで考えてしまいます
取り調べ染みた身辺調査があったのであれば、彼女ならそれを……なんて想像してしまいますね
卓也の過去は心美と重なる部分がありますが、それは心美にしても同じわけで
そうした切っ掛けの部分のみならず、冒頭の演出含めて読者の視点誘導、描写、台詞の扱い、共に抜群に上手い
純粋に話を追うだけでもスリルや背徳感を味わえます
悪魔に告げた別れは、一体どのようなものになるのか
一緒に覗き込んでみませんか?
主人公夫妻が、ある中学生の少女と養子縁組するところから始まる本作。
しかしこの少女、見た目は年相応で可愛いのに、どこか底の知れない妖艶さを隠していて……!?
彼女を迎えたことから、主人公の日常は少しずつ壊れていく……。
本作の作者様の作品は他にも何作か拝読しておりますが、この作者様、こうした”どこか陰のある少女”を描くのがすさまじく上手いです。
加えて、各キャラクターの内面、特に本人は隠しているであろう心の内のほの暗い影の部分もそれとなく、でも丁寧に描かれていて……。
怪異も出てこないし超常現象も起こらないにも関わらず、読めば読むほど背筋が凍ります。
ストーリーそのものも、常に先が気になる展開が続き、読み手を飽きさせません。
皆さまにぜひ、お勧めしたい一作です!
第一話を読むだけで、もう完全に物語の魅力に引きずりこまれます。
主人公である卓也と香苗の夫婦は、養子縁組によって児童養護施設から『心美』という少女を娘として迎え入れることを決める。
そして心美を連れて家へと帰るのだが、施設の関係者はひどく不安そうな顔でその姿を見送るのだった。
もうこの冒頭の場面により、「この先にどんな怖いことが?」と、続きが気になって仕方なくなります。十四歳の美少女、心美。彼女はどんな存在で、何が人を不安にさせるのか。そもそも、彼女は一体何者なのか。
心美を家に招き入れてから、卓也の周辺では不穏なことが起こり始める。
しかし、まだ全貌は見えません。心美は『サイコな少女』なのか、それとも『オーメン的な超常の絡む存在』なのか。まだまだホラーとしての正体は明らかにはならない。
本作の特に面白いところは、ホラーとしてどんな方向性の話に進むのか、すぐには予測がつかないところです。
だからこの手のジャンルが好きな人としては次々と記憶が刺激され、「こういう方向か?」、「いや、こっちの可能性も」とあれこれと可能性を模索しつつ読み進めることになります。
更に秀逸なのがタイトル。『さよなら、悪魔』というこのタイトルが、最終的にどう『回収』されるのか。
ハッピーエンドに繋がるようにも見えるし、何か裏の意味があって怖い展開が待っていそうにも見えます。
そんな想像力が刺激され、「早く続きが読みたい!」と気づけば待ち遠しい気持ちになっていました。
そのように、本作はとにかく読者の『想像力』を強く刺激してきます。わずかなポイントからあれこれと可能性を考えさせられ、どんな方向に転がって行くのかとぐいぐい引き込まれて行くことになるのが特徴です。
あと、個人的にとても面白いと思ったのが、養父となった卓也が心美の女性的な魅力に翻弄されそうになり、強く葛藤させられる点。
『養父と娘』という関係性だから、間違っても女としての魅力を感じてはいけない。そういう危うさを持ったシーンなのですが、これってジャンルとか関係性が違っていたら、思いっきりラブコメ展開でも使えそうな要素でもあります。主人公が中高生で、もしジャンルがラブコメだったら、きっと同じシーンを見て読者はニヤニヤしたことでしょう。
そういう、紙一重の匙加減でラブコメになりそうなシーンをホラーに変えてみせる。そういう点も切り口としての新しさを感じました。
筆致、心情描写も素晴らしく、様々な魅力を持った作品です。