そう、確信させられました。
11年ほど前に家庭教師で伺った先の猫さんに、悪口を試してみました。
「三味線!」
「中国名物、猫の鍋!」
で、猫さん、耳をぴくぴくさせながら、日向ぼっこをしつつ、しっぽをふっておいででした。
先日は、親と同学年のある大先輩宅の三毛猫のたま様、老婆猫様です。
「三味線!」
と、声を掛けました。
すかさず振り向かれ、
「にゃー」
と言われました。
どうやら、悪口とわかってお怒りだった模様です。
こんなニンゲンのおっさん、世界猫類のブラックリストに入っていないはずもないのではないか?
そんな気が、してきました(汗汗)。
中国人は、机以外の四本脚はすべて食べると言われております。
猫も、そのうち。
となればひょっと、易姓革命というのは、中国史というのは、猫のたたりが動かしているのかもしれない。
そうだとしても、おかしく、ないかもしれませんぞ。
今回集まった作品の中で筆者が最も動物愛を感じた作品。
普段から猫たちと接し観察している方でないと、とてもこうは書けません。
駐車場で群れなす猫たちが、ノンビリまったりと独特な雰囲気を漂わせながら会議するだけのお話。それがこんなにも面白いのは、登場する猫たちがどれも個性的で各エピソードの主題が明確になっているからでしょう。
各エピソードがどれも千字以下で読み易くまとまっているのも好印象。それでいて読み応えもタップリなのは作者さまの優れたセンスの成せる技。
「で、『偉い』って何なんだ? 人間の考え方に毒されて、猫社会に訳の分からない概念を持ち込まれても迷惑なだけだ。」
作中から抜き出した一文ですが、これほど的確に動物と人間の関係をとらえている表現はそうないでしょう。一方で同じ星に住む生き物として共感できたり、人間社会のことを彼らになり解釈している場面では苦笑させられたりと読んでいて飽きが来ません。
なるほど、猫が好きという方々の気持ちが良くわかる。
「我こそはモフモフマスターだと思う猛者よ、ここへ集え」
これは企画を催す際の宣伝文句。単なるジョークのつもりでした。
ですが私は認めましょう。この方こそ真のモフモフマスターです!
お陽さまの温もりが届く駐車場の片隅に、気ままに集まる近所のねこたち。
そして、顔をあわせるとはじまるのが、ねこかいぎなる、ねこたちによるお喋りなのです。
その内容は、自分たちのランキングだったりガールズトークだったり、更には、飼い主に怒られた愚痴だったりと、わたしたちのお喋りとなんら変わりません。
でも、ねこたち目線での会話の行きつく先が、どこかずれているのがおもしろくて、でも、暖かくて、かわいくて……。
ねこたちって、元来、自由で気ままで、ちょっとわがままな生きものなのです。だからこそ、この短いお話は、本当に『ねこたちの声』みたいに聞こえます。
このお話を読んだ後、駐車場の片隅でねこたちを見かけたら、そっと耳を傾けてみたくなるかもしれませんよ。