舞台はスーリ九ヶ国。大陸中央部の乾燥地帯に広がる、東西南北を縦横に結ぶ交易路の一大中継地。金と武力があれば法も善悪も覆る“剣と無法の世界”を、人情味あふれる侠客、六道が旅していく物語です。
異世界ファンタジーと時代劇の要素が見事に調和しています。
主人公の六道は、情に厚く正義を貫く侠客で、異種族との出会いや戦いを経ていきます。
異国情緒あふれる風景描写と、ドワーフやエルフなどの異種族が共存する世界観に独自色が強く、隅々までこだわられていてとても面白いです。徳に、異世界の緻密な設定や、用語の語感の良さと、主人公六道のキャラクターがすごく魅力的です!
古代中東やモンゴル系などをおり混ぜた、深みのある練られた世界観に、ゴブリンやドワーフといった人型の異種族が人間と共存しています。種族ごとに考え方や価値観の相違はあるものの、みな人並の知性や理性があり、見た目以外は人間といっても差し支えないほどに世界にとけ込んでおります。
雰囲気はタイトルの無法とある通り、殺伐としており金と暴力が全てです。どこか時代劇の様子も感じさせられます。そんな試される世界において、主人公は損得勘定なしに弱きを助け強きをくじきます。
主人公の前に立ちはだかる敵も、単なるやられ役ではなくしっかり有能です。ボスの腹心に至るまでじっくりとキャラが練られており、読んでいるうちに彼らの息伝いを感じられることでしょう。
総じて、地に足の着いたファンタジーを求める方に強くオススメできる作品となっております。
この作品が埋もれているのは本当にもったいないです。読めばもっと評価されるべきと思うのは、きっと私だけではないでしょう。