「この残酷な世界で生きる」悪漢と少女の物語を巧みに描くピカレスク作品

主人公は連続殺人鬼。冒頭から既に逮捕されていることが分かります。
そして語られる少女誘拐の真相。
少女の境遇は実に悲劇的ですが、直接的な描写はありません。
主人公は殺人鬼ですが「事案」を気にしたり、少女との距離感を気にしたりとごく普通の青年。
殺人鬼なのに、なんて普通に紳士なんだ……(笑)

文章は平易にして巧み。
ある種分かりやすい通俗的、大衆文学的な側面を持っています。
大衆文学のテンプレ作品と言えば伝わるでしょうか。
現在掲載中の13話以降、どう描かれるか期待が持てます。
意外性か王道か、実に楽しみ。
何文字ぐらいで完結予定なんだろう?
スムーズに読めるのも特徴です。

ここからは注意点。今現在作者さんは、小説作法や空白改行を採用していません。句読点がなかったり、良く言えば自由に、悪く言えばWebコンテンツを意識していない。
それでも充分読み物として成立しているのは、センスゆえでしょう。
残酷ながら爽快な物語が、どちらに進むかお楽しみあれ。