神のご加護か悪魔の仕業か。新島瑞樹と橘椛は最低最悪な出会いを果たす。瑞樹は世間を震撼させる連続殺人鬼、椛は家族から虐待を受け、同級生らからもいじめにあっている。そんな2人がひょんなことから薄汚れた路地裏で出会い、徐々に関係を深めていく。友情と呼ぶほど強い絆はなく、恋愛と呼ぶには危険すぎる。境遇に類似するところがあるのか、はたまた別の感情によるものかはわからないが、2人は次第に距離を縮めていく。明日への希望を何一つ持たない椛には、この関係の辿り着く先など些細な問題だと言わんばかりに。
淡々とした心理描写、乾いた人物造形が世界観をより一層ダークなものへと昇華させ、破滅的な魅力となっているように思う。一部目を覆いたくような残酷シーンもあるが、ときおり差し込まれる瑞樹と椛のカラミが旱魃に降る雨のように清涼感を伴う感覚を刺激してくれ、この物語の結末が2人にとって素晴らしいものであれという期待を抱かずにはいられなかった。
完結まで待ち遠しい。ぜひ読んでみてほしいです。