Resurrect ~1+1からウまれるキセキ~
偽穢(いつわり けがれ)
<<プロローグ ~孤独な二人~ 0>>
わたしは上手く馴染めなかった。
だから、一人でいた。
別段苦労することもないし、周りは周りでわたしはわたしだから・・・
そこに一抹の寂しさがないと言えば嘘になる。
だけど、私はもう諦めてしまった。
何かを期待することも・・・
誰かに理解されることも・・・
役割を果たせば果たすほど世界は絶望に染まっていく。
人が私に喚き散らす。
人が私を憎悪の眼差しで見てくる。
死神とも悪魔とも言われた。
その他、心無い言葉を数えきれないほど叩き付けられた。
やがて、信じていたものは壊れ、色づいていた世界も褪せていく。
初めの色が何であったのかが分からなくなるくらいに・・・
終わりのない世界に終焉をと願う。
叶うことのない願いなのだけれど・・・
太陽が巡る度に心が渇いていく。
月が巡る度に感情が薄れていく・・・
壊れながら日々を過ごしていった。
決して戻ることのない壊れゆく世界で、独り過ごすしかなかった。
そんな中、私は彼と出会った。
『恋人』にならないかと彼は言った。
理解できなかった。
絶望で頭が狂ったのかと思った。
でも、そうじゃなくて・・・・もっと別の、何かがあるようだった。
変な人だと思った、でも何故か頭は彼のことを考えていた。
彼はどんな人間で、どんな風に生きてきたのだろう?
そう思ったら、自然と頭を縦に振っていた。
俺は上手く生きられない。
だから一人でいる。
最低限の関わりさえあれば問題ない。
自分を完全に捨ててまで、他者に迎合する気にはなれなかった。
都合のいい時だけにしか受け入れない人間など、どうでもよかった。
所詮奴らは裏切ることしかしない。
本能しかない奴らに命なんてものはなかった。
孤高を目指した・・・・目指すしかなかった。
絶望的なまでにこの世は虚しい。
絶望的なまでに現世には救いがない。
いや、むしろこんな世界が救われていいはずがなかった。
人間は救われる存在などではない、裁かれるべき存在だとすら思っている。
いつからかそれに気づいて以来、もう人生などどうでもいいと思った。
自分も同じ人間である以上、そこに救いなどはないからだ。
夢なんてものはとうに捨てた。
理想などは諦めた・・・・・ただの戯言だった。
いつか訪れる終わりだけが救いだった。
終わりへと近づく日々だけが慰めだった。
だが、生きるだけの人生は長すぎる・・・・あまりにも長い。
絶望ならばそれでいい、そこをうまく生きるのが知恵だ。
希望を捨てて、そこから何ができるかを考えるのが人の知恵だ。
しかし、そんな考えとは裏腹に、絶望だけが繰り返される日々に心は荒れていく。
俺はこんなことのために生きているのか、という疑問に蝕まれる。
そんな救いのない俺の前に、不思議な少女が現れた。
『恋人』にならないか?
少女との話しの終わり、最後口に出した言葉がそれだった。
想定外のことに、感情少ない少女が驚いているのが気配で分かる。
少女は少しだけ考えると、頭を縦に振ってくれた。
否定せず、受け入れてくれた事実がどこか嬉しかった。
正直に言えば、一目見て少女が気になっていた。
誰よりも愛らしい見た目をしていながら、
誰よりも感情のない少女の笑顔が見たいと思った。だから俺は―――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます