最高のバディーに花束を!

もしも作品に点数がつけられるとすれば。
それが100点満点だとすれば、迷いもなく1000点…いや、そもそも点数というものの概念が吹っ飛んでしまう。
評価、という言葉が陳腐に感じられるほどに、答えが見つからない。

まず展開される世界のリアルさとカッコよさに序盤から唖然とさせられる。
私のように情景を描きながら読む者には、間違いなく垂涎ものの逸品だと言えるだろう。

ダイバーシティーという、物語の中だけに存在する世界。
それは作者様の力量によって緻密に計算され、紡がれ、読み手の脳裏には鮮やかに彩られたネオンの海が広がる。

降り立つのは、ダイバーシティーによって多様性を認められた個性溢れる面々たち。
民間警察会社ノスタルジアを構成する6人のメンバー。
唯一、限りある命と脆い身体を持つヒューマン・マホロと、ウルフ系獣人族・ガルガの活躍をきっかけに、彼らは巨大な陰謀の渦に巻かれていく。

そこにマホロとガルガの過去が繋がり、命を懸けて追わねばならぬ敵との戦いが待ち受ける——。

作者様の表現力の巧みさに幾度となく涙腺が緩んだが(笑いであり、涙でもある)、戦いで傷ついたバディーとの絆を深めるシーンでは想定外に号泣した。

その後も息を呑む展開が続くも最後まで力が抜けることなく、読者を否応なく満足させるラストが待っている。

中編作品ながら二時間を超える長編スペクタクル映画を見終えたような…。
心地よい疲労感と大満足感に浸りながら、このレビューを書いている。

チートバイクにまたがるマホロとガルガ。
彼らが颯爽とネオンの花道を駆ける姿を忘れない。

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