物語のラストの余韻が素晴らしかったです。
決して多くを、最後まで語り切らず、二人のこれからの幸せを暗示しているような……。
青い鳥の羽根と「命令(コマンド)」が本作のキーワードなのですが、命令という言葉から連想させられるイメージとは違って、本作での「命令(コマンド)」はとても温かな気持ちを伴ったもの。
その「命令」に翻弄されるバードさんとセシルのやり取りがなんとも微笑ましく、ほっこりさせられてしまいます。
作者様の作品は小道具使いがキリッと光るのですが、本作も「青い鳥の羽根」が二人をつなぐ大切なものとして登場しており、読み手に幸せな暗示を届けてくれました。
心かぽわんと暖かくなる、とても素敵な作品です!
ひたすら尊い。尊いというのは「こういう感情」を言うのだな、としみじみ感じさせられました。
セシルは自分の義妹であるアナが婚約者のルイと愛し合っていることを知る。セシルの立場はなくなり、不遇な状況に追い込まれることに。
そんな折にとある屋敷に身を寄せることになり、バード卿という青年と知り合う。
この先の二人のやり取りが、もう本当に「尊い」のです。
バード卿から「恋人の振り」をしてほしいと頼まれ、うまい距離感で接せられるように、セシルはバード卿に「命令(コマンド)」を出して制御していこうとします。
立場的にはセシルの方が上のように見えるのですが、やはり年上で余裕のあるバード卿がちょっとした態度を取る度に、セシルはドキドキしてしまいます。
このやり取りが本当に微笑ましく、そしてひたすら尊いと感じさせられました。
いつまでも見ていたいと思えるような二人のやり取り。読み進めるごとにどんどんバード卿もセシルも大好きになっている、とても心を満たされる作品です。