煌めく光が作る影

短編ながらも、よく練られた設定と世界観、そして個性溢れるキャラクターによって濃密な作品に仕上がっています。
希ガスのネオンの光が四六時中灯される都市『Area1』。
その中で活躍する保安警察の特殊能力部隊『SA-F00』の活躍を描いた本作は、人を窒息させる謎の蝶の調査を行います。

明るく無邪気な、冴島レイド。
クールで現実主義的な、碓氷リオ。
ネオンの光を遮るために和傘さす、久我ユミル。
お調子者だが憎めない、不破ナイア。

4人の『SA-F00』のメンバーが織りなす本作は、ネオンで煌々と輝く『Area1』を象徴するかのように眩しい活躍を見せてくれます。
最後の美しいシーンは、それまでのネオンの描写やその有効性の説明も相まって、皮肉とも読み取れます。

何故、この事件は『蝶』によって引き起こされたのか。
そして、合わせて発生していた子どもの行方不明事件。

背後にあるネオンに対する想いを想像すると、タイトルの意味が分かるような気がします。
『ネオン・テネーブル』。
煌めく光が作る影と、そこで躍動する若者たちの活躍を描いた、社会の光と闇の物語です。

その他のおすすめレビュー

中今透さんの他のおすすめレビュー105