灰になる迄

　不死身の吸血鬼によって人類が滅亡の危機に晒される中、若き研究者ミズは安全な地下の研究所に閉じ篭って暮らしていた。ある日彼女は、意識を持った『寄せ集めの塊』である少年ヴァイスを造り出す。ミズはヴァイスに「君が灰になる迄一緒にいてあげる」と約束するのだが、ヴァイスはその言葉から、自分が吸血鬼駆除の研究用の人工吸血鬼ではないかと疑心暗鬼に陥り、自分の存在理由を求めて苦悩する。一方、ミズは自分で造り出した『塊』に過ぎないヴァイスの純粋性に惹かれる自分を意識し、その歪な恋愛感情の芽生えに煩悶していた。
　滅び行く世界の中、この歪な愛を幸せな形で成就させることはできるのか……。
　第11回電撃小説大賞２次通過作品。第１回日本ラブストーリー大賞１次通過作品。