オレと宇宙と発射場
「まさかね」
「驚きですか?」
電話越しにでも会長の感情を読み取れる。しかし確認のためにも、会話を続けさせるためにも続ける。
「無論、なにせ」
「「宇宙飛行士」」
「になるなんて、って君私のセリフを奪わないでくれないか」
「これでもオレの職業なんですよ」
宇宙に行く前に電話をする。最後かもしれない。だからこそ言いたいことを最後まで言う。
「会長」
「やめてくれ、もう会長じゃない」
「では……さん」
「なんだい?」
「もし帰れたら、また……だと言ってくれますか?」
「ああ、もちろんだ。だが太陽に焼かれて熱中症になるなよ。君のために詰まらせたスポーツドリンクが無駄になる」
通信障害で会長は聞こえなかっただろう。だが会長にとっては何を言ったとしても受けれる覚悟はあり、全てを待つ時間もあった。
「もし、私からの刻印を受け入れるのなら、君を待っている人が1人では無いことを覚え欲しい」
「もちろんです」
太陽に一歩近づく。宇宙に入る。夢と理想を当時に達成する。
もし、星を渡れるなら、彼女と一緒に行きたい。
そしてオレは星に成る。
彼女に太陽にも勝った光を届けて。
オレと会長と小宇宙 秋霖 幽鬼 @syuurinyuki
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