背伸びしていたのは自分だったかもしれない。

 読後感そのままを申し上げると「なんて不憫な……」がもっとも「正しい」のであるが。
 わたしも男女の友情を信じたかったタイプの人間であるのでリオのことをなんとも言えないのだ。
 ただ、リオに対して「なぜ、彼氏いるのを隠してた」と突っ込みたくなる。ひとたらしかお前は。匂わせってやつか。匂わせは痛いぞ。

 語り手が花火の如く潔く玉砕していればもっと違った物語になっているのであろうことは確実なのだが、作者ご本人が「実話をもとに」ということを仰っているのでこれ以上何も突っ込まないことにする。
 
 作品単体として見れば儚く散った恋そしてありし日の青い思い出がありありとあらわれていて非常にみずみずしい。すっと背伸びをした、恋の終わりは物語みたいに綺麗じゃない。綺麗じゃないのが良い。
 

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