第9話 はじめてのゲーム配信

「第二回オトハくんを愛する者の会を始めます、会長の萌姫ゆんです」


 突如始まったコラボ、開始と同時にそんな宣言が...いやこの流れ前やったな。


「この集まりそんな名前だったんだね~。っていうか勝手に会長になんなよこのクs......会長の黒原うららだよ~!」


「いやいや、ここはこの世の闇を統べる我こそが会長にふさわしいだろう、会長の†カラミティ・エクリプス†だ」


「アホにトップはふさわしくない。つまりこの私が消去法で会長になるわけだな、会長のDr.カリンだ」


 :またかよw

 :全員会長とかこれもうわけわかんねえな

 :この前もやったのに何話すんだよw


「よくぞ聞いてくれました!察しのいい皆さんならお気づきでしょう。私たちがこの会を開くにいたった理由はそう、昨日のオトハくんのマシュマロ配信の最後です!」


「敬語が外れてたんだよね~」


 :お気づきなわけない

 :そうだっけ?


「気づいてない人又は覚えてない人はもう一度配信を見たほうがいい。オトハニウムも摂取できて一石二鳥だ」


 :新元素発見されてて草

 :じゃあ2窓するわ

 :待て、確かオトハニウムには強い依存性が...


「まあとにかく敬語が外れてたんですよ。つまりこのままだと私たちのオトハくんがNTRれてしまう、そう危惧したわけです」


「考えが飛躍しすぎだしオトハは我らのではないしそれどころかまだ接点0なのだが」


「細かいことはいいんですよ!で、この状況をなんとかせねば、といった感じです」


「それなら私いい考えあるよ~!えっとね~...


 ───


「先生今日もよろしくお願いします。アトライブ二期生の狛枝オトハです。今日はゲームやっていきます」


 :先生...?

 :そういやおれらカウンセラーだったわ

 :オトハくんが心の癒しになってきてる...あれ関係逆では?

 :ゲームきちゃ!

 :敬語...


 今回はボクの唯一の特技といっていい、そうゲーム配信だ。初めてのゲーム配信ということでゲームの腕前を測れる高難易度、長時間やシリーズものの配信にならないような短いものなどの条件を達成して見事選ばれたのは...


「今回やるゲームはこちら、ぶーさんの本塁打競争」


 :これはまた随分な鬼畜ゲーを...


「...をステータス無強化ノーファールノーストライクでクリアするまで終わらないという縛りで行きます」


 :?????

 :日本語で喋ってくれ

 :いや無理だろ

 :一日で一匹倒せばいけるか?


 説明しよう!ぶーさんの本塁打競争とは二足歩行の豚が立ちはだかる森の動物畜生たちを一本の丸太でねじ伏せていく、いわゆる野球ゲームだ。説明終わり!


 ...え?逆?自分がねじ伏せられる?またまた~ご冗談を~......えなにそのなにいってんだこいつみたいな目は...

 まあともかく開始だ開始、最近やってないからちょっと時間かかるかもしれないしね!


 一匹目、ロバ。戦いにすらならない。次。

 二匹目、ゾウ。クソザコ。次。

 三匹目、クマ。まだ余裕。次。

 四匹目、カンガルー。ここから魔球を投げてくる。上下に揺れる弾がタイミングを掴みづらくて厄介だけどまだいける。次。

 五匹目、ウサギ。さっきより簡単。次。

 今ここ。六匹目、フクロウ。通称ロウカス。左右に大きく揺れる魔球が激ムズ。ここで挫折した人も多いんじゃないかな。でもボクにかかれば...


 :な に こ れ

 :おれたちは一体何を見せられてるんだ...

 :ボールが丸太に吸い寄せられている...?

 :廃人ってレベルじゃねえぞ!


「お、ノルマいったね。あとはヒットだけでもいいから簡t...あっ」


 しまった、油断した。そう思ったときにはもう遅かった。変化を見誤ったんだ。かろうじて打てはしたが大きく振り遅れ、ボールは右に逸れていく......ファールだ...


 :あっ

 :恐ろしく速いフラグ回収、俺でなきゃ見逃しちゃうね

 :フラグ建設途中でフラグ回収するのは流石に草

 :まあこの感じだと次でいけそうだな...人外かな?


「ッスウゥゥゥーー......はい」


 一旦素数を数えて心を無にしよう。2 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31 37 41 43 47 53 57 59 61 67 71 73 79 83 89 91 97...ふうぅ~...よし!

 さ、再開するか...

 意を決してする。


 :ん?

 :!?

 :あっノーファールノーストライクでクリアするまでってそういう...

 :ええ...

 :そこまでやれとは言ってない


「まあフクロウまでなら楽勝だからこれはそこまでダメージないよ。本当に辛いのはラスボスでやらかしたときだから...」


 :まあ確かに

 :おい納得するなフクロウ前も常人ならきついぞ

 :敬語とれてる


「あっほんとだ...ですね。ゲームに夢中になってたから気付きませんでした」


 :直さなくてええんやで


「えっそうなんですか?じゃあ他の方にも聞いてみますか。敬語とタメ口どっちがいいd...」


 :タメ口

 :タメ口で

 :タメ

 :タメ口に決まってる


「即答かよ!みんな敬語嫌いすぎじゃない!?」


 まさかそこまで敬語キャラが人気ないとは思わなかった。世の敬語キャラ全員泣いていいぞ。


 :あー...

 :いやそういうわけでは...


 ん?じゃあどういうわけなんだ?


 :コミュ障の子が周りを凄く警戒してるのに自分には心を開いてるのって良くない?


「あーなるほど。確かにねー」


 というか実際ボクも好き。ってさらっとボクのことコミュ障って決めつけたな。事実だけど。


「...まあ敬語無しのほうが自然と喋れてる気がするし、普段みたいに変に気が張ってることもないからあながち間違いじゃないのかも」


 :ガタッ

 :ふぁっ!?

 :そそそれはつまりそういうことだな!?


 ああ、そうだ。こうして雑談しているときの幸福感。感じたこともない胸のときめき。きっとこれが......


「うん、これがって関係なのかもね!」


 :ガタッ(落胆)

 :この流れでそれはあかんやろ

 :まあ一歩進展したということで...


 あれまたなんか思ってた反応と違うなあ。ボクなんかおかしいこと言ったかな?


「よくわかんないけどそろそろゲームに集中するね」


 ───


「やっと終わった~」


 :うおおおお

 :すげえええええ

 :やば

 :おつかれー

 :まさか本当にやってのけるとは思わなんだ


 あの後もフクロウの次のトラでミスったしラスボスのケビンもといケビカスには2回もやり直しさせられた。やっぱり腕が鈍ってるね。


「じゃあ配信終わろうかな、先生今日もありがとうございましたー」


 :あれおつオトハは?


「恥ずかしいし先生との別れの挨拶には不適切だからリストラしました」


 :えー可愛かったのに

 :まあしゃーないか

 :新しいのも好きだよ


「では今度こそ、ありがとうございました」


 ───


「ふー疲れたー」


 一息ついたあとベッドの中に潜り込む。今日の配信も上手くいってよかった。カウンセラーのみんなと仲を深められたしね。そんなこんなで配信活動は今のところ順調だ。

 っと、メールが来てる。なんだろう?そう思って内容を確認する。そこにはこんなことが書かれていた。


 "二期生全員の大型コラボの会議をするので事務所に来てください。日程は───"


 ん?なんだか雲行きが急激に怪しく...


 ─────


 メリークリスマス!え、もう遅いって?

 ......ほら、小説によくある時間軸のズレだよ気にしない気にしない()

 えーはい、もうちょっと早く更新できるよう善処します。

 それとレビューありがとうございます!ぶっちゃけ書いててこの話本当に面白いのか?って思って筆が止まることよくあるんですけどこういうことがあるとやる気出てくるんでまじ感謝です!

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自信を失くしたロリ美少女(中身は男子)がTSVTuberやる話 飴降らし @amefurashimoto

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