自信を失くしたロリ美少女(中身は男子)がTSVTuberやる話

飴降らし

プロローグ

第1話 人生の転機

「アトライブ二期生...」


 最近盛り上がりを見せているバーチャルヨウチューバー、略してVTuber。個人で活動している人たちだけでなく、企業のバックアップのもとで活動している人たちもいて、絶大な人気を誇っている。その企業のうちの一つ、「Attribute Live」通称アトライブにはまるでラノベなどに出てくるような性格、いわゆる「属性」を持つライバー達が所属している。そんなライバーたちのうちの一人、棘宮スピナの配信にて告知された二期生募集。


 パソコンのスクリーンだけが光る真っ暗な部屋の中、絶賛引きこもり中の高校生であるボク、入江瑠衣は呟いた。


 ───


 ここで瑠衣の過去について説明しておこう


 街で見かけたら思わず振り向いてしまうほどに可愛らしい容姿。耳元で囁かれたら耳が溶けてしまいそうになるほどに可愛い声。そんな才能とも呼べるほどの可愛さを瑠衣はもっていた。極端なコミュ障でもなければ順風満帆な学校生活を送れるはずだろう。


 だが、は違った。そう、彼の心は男だったのである。最近はそういったジェンダーに関する問題は受け入れられるようになってきている。彼の両親も理解があり、彼を男の子として見てくれた。しかし、小学生にそんな気遣いができるだろうか?


 昔からその容姿であった瑠衣には、ある者は奇異の目を向け笑い者にし、ある者は男でもいいと告白し、男とは付き合えないと言われ振られ、ある者はそのことを聞いてを妬んだ。結果、彼の小学時代はあまりに暗く、残酷なものとなってしまった。


 そんな現実に耐えられるはずがなく、彼は心に大きな傷を残し不登校になってしまった。中学生に上がってもその傷は治らず、三年間の全てを家の中で過ごした。もちろんその三年で傷が治るはずがなく高校に入学すらせずにこうして部屋の中で電子世界に逃避している。


 本人もこのことに危機感を感じていて、でもどうしても勇気が出ずに外に出れない、と悩んでいた。そんなときのことだった。


 ───


(VTuberならリアルでの会話と違って自分でも人と話せるかも?でもリアルで誰かと話すことも少なからずはあるんだろうな...)


(いつまでもこうして逃避してたらダメだ。でもこんなボクじゃそもそも誰も見てくれないか...)


 色々な機体と不安が頭をよぎる。少しした後、ボクは一つの考えに行き着いた。


(まぁそもそもどうせ受からないし、とりあえずやってみるか!)


 ───


「おい、大変だ!」


「ん、どしたの?」


 とある問題が、ここアトライブ事務所で起こっていた。


「死者が出たんだ。二期生募集の一次選考のボイス動画があるだろ?その中の一つに殺戮兵器があった」


「うるさすぎて耳が逝かれたとか?」


「いや、全くの逆だ。あまりのカワボで耳が溶けたんだ」


「ちょっと聞かせてくれる?」


「バカ速まるな!」


 ・・・


「ヘッドフォンなんかつけたらそれこそ救急車案件だぞ」


「最強なカワボを耳元で聞けるなら死んでも構わない!ポチっとな」


「ええ...」


『え、えっと...録れてるかな?』


「ヴッ」


「おい大丈夫か!?」


「なんとか致命傷で済んだわ... いやでも想像を絶するカワボね。もうこの時点で合格な気がするけど...」


『じ、実はボク...』


「ボクっ娘かよ、最高」


(あ、でもヤバい、カワボ摂取量が規定値をオーバーしてる)


『体は女の子なんだけど心は男の子なん──


(意識が遠のいていく... 私、もう死ぬんだな...でも最後にこんな最高な体験ができてよかった...

 あれ?でも何かとても大切なことを言っていた気..が...) ガクッ


 ___


 登場人物紹介のコーナー


 名前:入江瑠衣

 性別:女(精神は男)

 年齢:17歳

 身長:140cm 体重:35kg


 この話の主人公。小学時代のいじめが原因で自分に自信がなくなり引きこもり歴8年。不健康な生活が原因か身長や体重がほとんど昔と変わっていない。そのためナニがとは言わないがちっちゃい。中学時代不登校でろくに勉強をしてなかったため高校に入れていない。また幼い容姿や退化したコミュ力のためバイトや職業も全く見つからない。

 このまま真っ暗な未来へ一直線と思われたが...


 ───


 読んでいただきありがとうございます!良ければ続きを読んでいただけると幸いです。

 また、どのような属性のライバーに登場してほしいかなどがあれば是非コメントに書き込んでみてください。作者が助かります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る