月の夜

どこかには

地下で震えながら

膝を抱えて怯える子供がおり

どこかには

満席だと断られ

呆然とバスを見送る老婆がおり

どこかには

なりふり構わず必死になって

腕の折り方を探す若者がおり

そうしてここには

そんな人々を忘れて

遊園地行きの新幹線に乗る

わたしがいる

みにくい

本当はどこかなんてないのだ

すべてが繋がっている

ああ

けれども今夜は

なんと月の

美しいことか

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