うつくしいせかい

田んぼの畦道を歩いていたら

トンボが前を横切って

稲穂の匂いが鼻をくぐった

くっきりした空を

雲がたおやかに流れてゆく

鷺が遠くを飛んでいる

風が私の髪を梳く

小川の音が舞い上がって

私の耳に触れる

ああ

こんなときにも世界は美しいのか

どこかでは誰かが絶望しているというのに

この美しさは損なわれないというのか

そうして私も誰かを忘れて

ただ一心に美しいと思うのか

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