よく作りこまれた世界観と登場人物たちに魅せられるファンタジー作品!

徽章術なる魔術をあつかう章術士の少女エステル。彼女の仲間の少女ルリーテ。そのエステルが何者なのか、ということが簡潔に描写されたプロローグによって、本作は幕をあけます。
プロローグは2話にわかれており、もう片方のプロローグでは青年セキについて語られています。

エステルとセキ。プロローグを読めばわかるのですが、このふたりは十年前に出会っています。そのときに、一緒に冒険をするなら仲間になるという約束をして、それを果たそうとすることで物語が動きはじめます。

そして、その物語ですが、非常によく世界観や設定が作りこまれており、冒頭から濃密なファンタジーの世界に入りこめます。

「中央大陸(ミンドール)」や「自然魔力(ナトラ)」「下位風魔術(カルス)」「下位火魔術(ヒルス)」などの作中に出てくる用語が、そうした世界観の構成の一助にもなっているのですが、個人的にすごいなと思わされたのが、これら用語に打たれたルビ(ふりがな)のネーミングのセンスのよさのみならず、ルビの意味がわからなくても、ルビをふられた漢字のほうを読めば、おおよその意味がつかめるようになっている親切設計です。

このレビューは1章まで読んだ時点で書いているのですが、同章ではエステルとルリーテがオカリナという村でクエストをこなしていきます。そこで展開される魅力的なストーリーと、仲間になる個性的な人物たち。

おそらくカクヨムに掲載されている小説のなかにあって、本作は一話におけるボリュームが多いほうの作品だと思いますが、内容が面白いので、ぼくの場合は苦もなく読み通せました。

すでに書いたとおり、このレビューは1章を最後まで読んだ時点でのレビューです。2章以降、この物語がどうなるのか、エステルとセキはふたたび出会えるのか、出会ったとしたら、どうなるのか、いまからとても楽しみです! 
『パレット探求記』、おすすめです!!

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