丁寧に緻密に織り上げられた美しい王道ラブロマンスファンタジー!
- ★★★ Excellent!!!
(第5話まで読了時のレビューとなります)
共に冒険するという10年前の約束を果たしに、成長した男主人公セキと女主人公エステルがそれぞれ再開を夢見て旅をするお話であり、王道ファンタジーらしい壮大なロマンを感じさせる物語となっております。
特筆すべき点は、日常から戦闘まで極めて丁寧に描写されていることで、読者はまさにその場に居るような一体感が得られるでしょう。かと言って冗長過ぎず飽きさせずと、物語に上手く惹き込んでくるところに、作者様の文章表現力の高さが伺えます。
また、ファンタジーらしく魔法が登場しますが、その背景の作り込みがとにかく「綺麗」です。詠唱を詩と呼んだり、星を象徴するものが多かったりと、隅々まで凝って作られていることがすぐに見て取れます。
女性サイドでは、周りからは落ちこぼれと言われるエステルと彼女を慕う妹分のルリーテの冒険となりますが、開幕では少々身の丈に合っていない場所に居るため、簡単なクエストであっても危なっかしくありハラハラさせられます。
そのような未熟な二人ですので、魔物に魔法や技を脳筋でぶっ放すだけで勝てるわけはなく、それら手持ちの武器の特性を上手く組み合わせ戦術を練って勝利していくところに、本作のバトルの醍醐味があるでしょう。
それも生真面目な二人が日々考察を惜しまないという不断の努力ゆえの成果であり、それを積み重ねて成長していく姿を微笑ましくも誇らしい気持ちで見守ることができます。
そうして戦闘では息の合った連携を見せ、日常では仲睦まじく寄り添い励まし合う姿は、本当に心が洗われるというもので、別に百合好きでなくてもニヤニヤしてしまうことでしょう。
男性サイドは、(私の既読範囲では)まだプロローグでしか登場しておりませんが、気さくなセキと相棒のドラゴンとの珍道中(?)と言った趣になっています。二人が交わす遠慮のない会話には確かな信頼が感じられ、とても良い旅をしているのだろうと想像されます。
皆様もぜひとも一度ご覧ください。ハマりますよ!